ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「シラノ・ド・ベルジュラック」の作品情報・感想・評価

ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「シラノ・ド・ベルジュラック」2019年製作の映画)

NT Live: Cyrano de Bergerac

上映日:2020年12月04日

製作国:

上映時間:186分

ジャンル:

4.1

あらすじ

「ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「シラノ・ド・ベルジュラック」」に投稿された感想・評価

tsushiro

tsushiroの感想・評価

4.5

このレビューはネタバレを含みます

とにかく役者の演技に脱帽
貴方が泣くと私も泣く 許してくれ、貴方が苦痛に歪める顔ほど泣かせるものはない
苦悩が浮かぶ瞳、見開いた目、震える唇、大粒の涙、下がった眉尻、全てが苦悩を訴えかけて来るようで涙が出てきた

予想以上にシラノがクリスチャンに一目惚れでツッコミそうになった 光文社版によるとシラノの同性愛的な愛情があったというからそれが上手く表現されていた。シラノの熱い目線 恋に落ちた演技が熱い

4つの椅子が並んだ場面転換はなるほど〜となった。本当に身近なもので舞台はできるんだな 役者が向かい合って話す必要も、時代背景に合った衣装を着る必要も小物も必要なくて、役者の演技のみが舞台を形作ることってできるんだ

シラノが囁く愛の言葉で完全に恋に落ちた。なんて熱く、凄まじい、噴き出すような愛。言葉を尽くして言葉で愛を交わす これこそ

クリスチャンがキスをするシーンの二人のシラノの動揺やクリスチャンの激情、感情の揺れ動きがたしかに手にとるように感じられて胸が苦しくなった。あのまま死ぬなんて。舞台ではキスの後は死にに行くように戦いに身を投じてそのまま死んでしまった。本では幸せのうちに死んでなかったっけ?悲しいな…物語が悲痛なものになった。

死の演出も素晴らしかった 細く差す照明に映し出されるクリスチャン、照明が広がると傍らの仲間たちが暗闇から姿を表して、マイクを顔から剥がして、退場を表現する なるほど、本当にシンプルな演出 そういえば鏡に映るシラノの照明の当て方が工夫されていて、鼻だけ浮かび上がるようになっていたのは印象的だった

シラノが事実を明かすシーンは隠していた秘密を最後に明かして、ロクサーヌの拒絶を恐れるその表情が苦しくて苦しくて、涙が溢れてしまった。受け入れてもらった時の鼻を押し付け合う二人 これが最期になってしまう

最期のシラノの言葉は酒場の小話 金が有れば度数が高い酒は飲めるが、それは自らを破滅へ導く すなわち自由になるということは傷つくことにつながる マスター、鼻の分ウイスキーをダブルでくれ 友の分ウイスキーをダブルでくれ

最後の言葉は羽飾りでも心意気でもなかった。忘れちゃった、、、月世界へ、だっけ?

役者に心底惚れ込んでしまった 舞台って役者さえいれば作れて舞台って面白いんだ 観てよかったな
miumiu

miumiuの感想・評価

4.2
観たい観たいと思いつつ、日本での鑑賞はムリかもな… と思っていた舞台。
ナショナル・シアター・ライブで上映してくれて本当に嬉しい!

原作と同じく17世紀を舞台にしながら、衣装や演出は現代的なシラノ・ド・ベルジュラック。
主演はジェームズ・マカヴォイ。
英語圏の詩は基本的に韻を踏むから、ラップ調の演出はピタリとハマる。
そしてこのラップ演出が、それぞれ方向性は違うとは言え、怒りやフラストレーション、コンプレックスを抱えた登場人物たちの気持ちを表現するのに合っていた。

シラノ、戯曲はきちんとは読んでいなくてストーリーを知っているだけなんだけど。
何となく「死の間際まで自分の純愛(と功績)を明かさなかったシラノの美談」みたいにこれまでは捉えていた。
一方今作では、自身のやったことを明かさない=嘘をついたことへの代償、
と言った描き方で、結構な切なさ・重さだった…
クリスチャンが迎える結末も、シラノとロクサーヌを近づけるための必要な展開として…だけでなく、しっかり重く描いているところが良かった。

舞台装置(のなさ)、衣装、キャスティング、役者のビジュアルと、どれをとっても観客の想像力を信頼して委ねているのがまさに演劇、舞台芸術という感じ。
生で観るときっと舞台から発せられるオーラが凄いんだろうな。
映像だと、クローズアップできるぶん、役者の表情の細やかな演技を観られるのが最高だった。

そしてナショナル・シアター・ライブ、今後も地方での上映、ぜひもっと拡大してください!
r

rの感想・評価

-

このレビューはネタバレを含みます

33
恥ずかしながら前知識無しで鑑賞
例によって纏められないのでつらつら書きます

シラノ・ド・ベルジュラックの名は以前から知っており、気になっていた戯曲のひとつでもあったので、NTLで観ることができて嬉しい

コンパクトな舞台と、マイクと椅子という最小限の小道具、観客の想像力を最大限に活用したシンプルかつ大胆な演出。

3時間という長尺ではあるものの、全編通してテンポが良く、コミカルなシーンも多かったためか、全く飽きずに楽しめた。序盤にシラノが多用する👍👍が可愛かった。

シラノがクリスチャンを装って愛を詠むシーンには惚れ惚れ。マカヴォイの穏やかな声色と澄んだ瞳に、カメラのズームと共に引き込まれた。

韻を踏んだ台詞は耳に心地良く、聞いていて楽しいと同時に英語力不足を再認識して悔しさも感じた。

何と言っても圧巻なのはマカヴォイの演技。持参した飲み物を口にするのも忘れるほどにのめり込み、終幕の瞬間は文字通り全身が痺れた。

シラノ・ド・ベルジュラックの入口としては贅沢すぎるほどの舞台だった。関連作品や原作にも触れてみたい。

このレビューはネタバレを含みます

いやシラノイケメンやな!!!笑

劇中の縄跳びもショーゲキ
ボイパかっこいい
椅子に座り代わりながらのシーン転換ステキ
体動かせるってやっぱいいな

シラノドベルジュラックの言葉の美しさ、テンポが存分に堪能できた。
2回映画館で観てしまった。
いや、もう、斬新なのに分かりやすくてテンポがいい。いまだ、興奮さめやらず。

単なる現代版アップデートではない。シンプルな舞台装置にユニクロな私服。ボイスパーカッションの劇伴。ラップ・バトルによるチャンバラ。時には剣、時には手紙に見立てられるマイク。果てはスタンドからケーブルまでをも巧みに駆使。アクションのパートは敢えて語りで朗読劇にするなど、観客の想像力を全面的に信頼して挑んでくる進行に、心が躍る。

物語細部の微妙なアレンジや新たな解釈も見所。クライマックスに至ってはシラノの方からあっさり白状した上に、いまわの際は小咄(ジョーク)で、しかも締めの決め台詞(C'est mon Panache!)を言わせないまま昇天させるという大胆な改変に、一瞬、戸惑いを感じたが、様々なバージョンを見てきた身としては、これはこれで嫌いじゃない。むしろ、失われゆく「詩」や「言葉」の価値が一層際立って心に迫ってくる。

付け鼻なし、バルコニーなし、というまさかの「必殺技封じ」でも問題なく楽しめる辺りも、原作の力強さを再認識させられた。

今回の舞台で初めて気づかされたのは、「出てくる登場人物、実はどいつもこいつも絶妙に不器用(ぶっちゃけ、どんくさい)」ってこと。今まで気づかなかったことが恥ずかしくなるとともに、ますます物語に愛着が沸いた。

もちろん、原作を読むか、せめて映画版(ジェラール・ドパルデュー版か、ホセ・ファーラー版)を見ておくことが大前提だけどね。
Parry

Parryの感想・評価

3.8
マカヴォイ演技うまい!
ビートパーカッショワの女性すごい!
ラップ好きにおすすめ
ちぃ

ちぃの感想・評価

4.2
観た人の評判がすこぶる良いので前知識0で鑑賞。

古典を新解釈した演出。
テンポ良くてエネルギッシュでコメディ要素も随所にあって最高でした。

私の中のマカヴォイの認識が「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」で止まっていたので、“アニキ″然としたシラノが似合ってて驚いた。

21-6
久々のイベント感覚で鑑賞。3時間耐えられるか、わたし⁉︎
自分へのルポも兼ねて長文です。
マカヴォイの舞台劇なんてなかなか観れる機会が無いと思ったので。

いきなり舞台が始まるのかと思いきや、シアターの外からナレーターの実況で始まり。
実際にロンドン現地を訪れているかのような興奮感がこちらへも伝わってくる。

いよいよ開幕。
小さな木枠のような箱の舞台に、
椅子とスタンドマイクだけ。
シラノは古典なのに、まるで現代劇のよう。登場人物も黒Tやオーバーオール、スニーカーなんて。

シラノの時代考証にあった劇をイメージしてたので、現代風、装置・小道具ミニマムな作りに面食らいます。
私よりも、普段から舞台を見慣れている人が観るべきものかな〜とは思います。
やっぱりこれは映画館で観るより、舞台を目の前で観た方がいい。

会話は詩のボクシング大会のよう。
圧倒的な会話量です。
『スプリット』でもマカヴォイ独壇場のように会話量が多かったけど、これほど多いとは!
愛を告白するときは表情のアップで感情伝わってくる構図。

コメディ版シラノ『愛しのロクサーヌ』の引用もあり。
伯爵の陰謀でロクサーヌと別れ、戦地に発つ夫クリスチャン。
クリスチャンを守るとロクサーヌに誓うシラノ。
シラノの献身的なロクサーヌへの愛。
でも、ロクサーヌは自分が真に恋する男がクリスチャンではなく、シラノである事を知らない。

インターミッション20分ほどあり、
その間は劇場内で会話を交わす客の映像がずっと流れているのを、そのまま休憩を取らずに私も観ていた。

マカヴォイの熱演素晴らしくて。
シラノ特徴の鼻は全然大きく無いし、
聞いてはいたけど、ヒロインが恋するクリスチャン役よりマカヴォイの方がカッコ良かったんだ…。

秘密の暴露というのは一体いつ行うのがベストタイミングなのか、やっぱり墓場まで持っていくべきなのか、考えさせられる。
悲劇的であり、幸福でもあるラブストーリーでした。
Ryo

Ryoの感想・評価

4.5
1600年代を舞台にした19世紀後半の戯曲を21世紀版にアップデートした作品。時に鋭く韻を踏み言葉を紡ぐ‘詩’をラップで表現し、その小道具としてマイクやケーブルが用いられる。シンプルな白木の囲いのセットはまるで古典芸能のようで有りながら、正面板の奥には自在に動くLEDのバーライト(これは先日観た演劇「地点」とも通じるものだと感じた)。
1926年の額田六福による翻案、『白野弁十郎』が2006年まで何度と公演されているのも、テーマの普遍性ゆえなのでしょうね!

導入部の素晴らしさ
もっと魅たい決闘
イケメンのシラノと鏡
出演者の多様性
ボイパ
有線マイク、ケーブル
ド・ギーシュ伯爵ラップ

何よりシラノの悲哀
あっという間の3時間
I Love Words、that's all!
chaooon

chaooonの感想・評価

4.4
National Theatre Live 2020の第6弾✨
2019年ウエストエンドで上演された、現代演出が光る新生シラノ・ド・ベルジュラック🤥✨

もともとの戯曲も韻文劇でセリフがかなり豊かなお芝居だけど、今作は大掛かりなセットはなくとてもコンパクトで、より言葉の応酬を際立たせるものだった。
舞台上に置かれた椅子に座ったり、立ち上がってセリフを発する出演者たちの姿は実にシンプル。
最初は、これしんどかも…と思ったけど、椅子の使い方一つにしても、かなりバリエーションに富んでいて、かなり面白い演出✨✨

高尚さや取っつきにくさを削り落としたシンプルで現代語訳されたセリフ。
猥雑なセリフも多くて、かなりざっくばらんな印象。
シラノってそもそも、笑わせるセリフなんかも多いユーモアに溢れた内容。
でも現代の私たちが観て笑えるかといったら、やはりそれは違くて。
でもこちらは現代人にも適したユーモアや間でテンポが良くて、かなり笑える部分も多かったな!
そして剣ではなく、マイクを持って相手を圧倒🎤
韻文はラップに!
こりゃ〜かなり斬新だ!!!

そしてなんと言ってもシラノ役はジェームズ・マカヴォイ💖
鼻が巨大で醜悪な顔という設定は一緒だけど、特に付け鼻もなく、そのままのマカヴォイ❣️
醜い…どころかマカヴォイがカッコ良過ぎて、完全にノックアウトです🥺💕💕💕
姿形の醜くさというコンプレックスを持って、愛する女性に想いを告げられないでいるシラノだけど、自分が思っているほど他人はそうは思ってなく、自らの思い込みに囚われているって感じが強調されてるように感じたかな。

シラノでお約束のあらゆる角度からの鼻の形容・侮辱のセリフの数々も、大半はシラノ自身が語って見せる場面なので、そういう見方も出来るのかと思えて、面白い!

ロクサーヌ役はアフリカ系女優アニタ=ジョイ・ウワジェ❣️
彼女は確かに知的ではあるんだけど、ロクサーヌのイメージとは違っていたので、かなり意外なキャスティングだなと、序盤はそわそわ!
でも物語が進むに連れて、その勝気で機知に富んだ現代的なロクサーヌ像はとっても心地良くて、観ていて凄く好きになっちゃったなぁ🥰

今まであんまりカメラワークとか気にしたことなかったけど、今回はなんか凄く臨場感があって本当に舞台を観ているような錯覚を起こすほど🎥✨
終盤のクリスチャンが暗闇の中、舞台中央に立ち尽くす場面は、スクリーンで観たらホントにそこに立っているように観えた!
あと1幕終わりのマカヴォイが真っ直ぐ語り掛けるところなんて、マカヴォイに見つめられてるかと思った🥺💕💕💕
色気がダダ漏れ過ぎてセリフが半分くらい入って来なかったわ🤪💕💕💕




↓ ちょっとネタバレ ↓





いくら姿形は関係ないとは言っても、体を持たない人間なんていないわけで。
心と体は切り離して存在すること、認知することなんて出来ない。

体だけでも、心だけでも、どちらか一方だけでは全く別の存在。
ロクサーヌが愛した男性は、クリスチャンでもシラノでも、どちらでもない。
ロクサーヌが虚しさを込めてその存在を「幻想」と嘆くラストシーンは、それを残酷な程に表していて切ない。

だからこそ、シラノは真実を最後まで告げなかったのだと思えた。
もちろん恐れもあるのだと思うけど、真実を告げる事で、彼女の愛した男を葬り去ってしまうことにもなるから。
手紙を破られることへのあの反応も納得。

あぁ…この演出好きだな…

こちらは2020年のローレンス・オリヴィエ賞でもリバイバル作品賞や演出賞、マカヴォイの主演男優賞等、5部門にノミネートされて見事リバイバル作品賞を受賞してるそうです🏆✨
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