Masato

ザ・フラッシュのMasatoのレビュー・感想・評価

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)
4.3

吹替版(完成版)ジャパンプレミア 2回目見てきたので修正&加筆。

2回目見て感じたのは、新しいものっていうのは後述の通りあまりないけど、とにかく笑えて楽しく、ファンが喜ぶようなユニークなサプライズも用意していて、全体を通して中弛みのないバランス配分がめちゃくちゃ良い。だからといって軽すぎるのではなくしっかりとドラマも描かれているからめちゃくちゃ楽しい。偏りがないから何回見ても楽しくて素晴らしい。

悲しいことも嬉しいことも、そのすべてを経て今の自分がいるということを別世界のバリーや二人のバットマンを通して、重ね重ね複数のアプローチで描いていて一貫性があったところも2回目で気づいて良かったところ。今の自分だからこそ暴走してしまった事実と、今の自分だからこそできた選択と踏みとどまれた反省が着実に描かれている。本作の最大の敵は自分であり、その敵と常に様々な形で闘い続けている物語だ。故に、もうひとりのバリーを用意して可視化したところ(それも非常にコミカルなタッチで)に優秀さを伺える。

あとバットマンのシーンになるとダニー・エルフマンの劇伴ぽくなるところ良かったなあ。

予習するなら大切なのはジャスティス・リーグ。補足程度ならマン・オブ・スティールとBvS、キートン版バットマン。


↓ 超速試写会(6/1)


超速試写会にて

DC作品にしてはガチガチに情報規制しているし、エンドロールがまるごとカットされた完成前バージョンの感想ということで。


MCUのスパイダーマンNWHを彷彿とさせる時空とマルチバースを軸とした物語で終始ワクワクの展開。アクションやコメディ要素をふんだんに盛り込んでいて最後まで楽しく、これまでのゴタゴタで大変なことになっているDCEUからDCUへと上手い移行を果たそうとしているXMEN FUTURE& PAST的作品でもあった。マーベルで成功した要素をこちらでも成功させているといった印象。

ここからでも楽しめるようにはなっているが、ゾッド将軍がでてきたりするあたりの、しっかりとマン・オブ・スティールからのザック・スナイダーユニバースの物語の流れを汲んで描いていることがザック版好きな自分にとっては良かったところ。そしてそれを上手いことDCUへと移行できる土台を着々と丁寧に描いているところが良かった。かなり曖昧なのでまだ推測的な部分もあるけれども、そういう意図は感じられた。

言い方は悪いけど、先行で成功しているマーベル作品の要素を学んで作られているということはハッキリと分かる。フラッシュはまだ若くてヒーローとして未熟な部分もあり、さながらトムホ版スパイダーマンとアイアンマンのようにバットマンと親子的な関係性になっているところとかはまさにそう。既にシャザムでやってはいるが、隙あらばコメディ要素が織り込まれるのもそう。バリー・アレンが常に軽口。名作映画の言及も沢山、遊びで能力を使いまくってしまう感じもまさにスパイダーマン。

時空を旅して世界線がぐちゃぐちゃになる物語や、かつてのキートン版バットマンを出させるファンサービスに溢れたメタ的な要素もMCUのフェーズ4以降のマルチバース設定でファンを唸らせた展開ではある。

逆に言ってしまえば、ストーリーがあまりにMCU作品の影響を受けすぎていてザック・スナイダーのときにあった独自性は失われているように感じたこと。かなり面白いのは確かだが、今まで見たことない映画だという風に想像してしまうと肩透かしを食らうかもしれない。あとDCあるあるで予告編で映像出しすぎてプロットが想定内すぎてしまうのも良くない。少なくともスーパーガールはサプライズでも良かったと思う。予告編の興奮させながらプロットを想像することがしにくいようになっている上手い濁らせ方はMCUが勝ってしまう。

物語としては往年のタイムトラベル映画のストーリーをフラッシュに落とし込んだという感じで設定的に複雑になりながらも、大体の流れはまあいままでのあの映画の感じでしょ?みたいな風に砕けて理解できるのは良いところ。テーマもバタフライなんとかみたいで、意外性はないが楽しい。

アクションはしっかり大作並みに大スペクタクルで最高。フラッシュの持ち味が十分活かされていて、そこにバットマンらの別ヒーローのアクションが連携プレーを含めて繰り広げられていくのがバラエティ豊かで単独作なのに豪華。最後はカタルシスが薄めでやや尻すぼみ感は否めないが、物語的にはすごく良い着地で納得。

エズラ・ミラーはこの上なく適役なだけに昨今のメンタルヘルスが非常に心配で残念。監督らは続投を考えているのでしっかり快復してから再び演じてほしい。
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