ルサチマ

ルルを探してのルサチマのレビュー・感想・評価

ルルを探して(1998年製作の映画)
4.5
伝説の女優ルイズ・ブルックスの引退後の晩年生活を捉えた貴重な映像資料ということだけでなく、時折挿入されるブルックスが晩年を過ごした長閑な街並みを捉えたインサートも中々美しく、ブルックスについて語る人々の言葉の組み方も、ブルックスの写真やテクストの並べ方もハイクオリティで、女優というよりも破天荒で誇り高き芸術家としてのブルックスを再発見できることに感動。女優として優れた知性を備えながらも、奔放に気の赴くまま生きる生涯は、人生そのものを芸術活動として思考していた痕跡のように思える。
特に『人生の乞食』でルルに嫉妬をしていたリチャード・アーレンが晩年のブルックス宅を訪問した際に、黒ヘルメットの髪型でなくなった彼女と数十年ぶりに穏やかな談話を繰り広げたというエピソードと、そこに購入される『人生の乞食』の最初に2人が寝泊まりする場面のインサートには涙を堪えることはできなかった。
日本でも漸く刊行された『ハリウッドのルル』を補助線にこのドキュメンタリーを見てみると、引退後の生活も含めて最後までアーティストであり続けたブルックスの功績の偉大さが果てしなく思えて嬉しくてたまらない。
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