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レベッカのBaadのレビュー・感想・評価

レベッカ(2020年製作の映画)
3.7
ヒッチコックの前作も、原作の翻訳もはるか昔に読みました。

この映画を見たのは、他の方のレビューを読んで、ひょっとして最近見た『寝ても覚めても』と近い話なのでは?と思ったからなのですが、それは当たらずとも遠からずだったかも。

この映画とヒッチコックの映画の大きな違いというのはヘイズコードのため明言されなかった原作にはあったある事実を前提に物語が組み立てられているということなんですが、それがために、恐怖映画じゃなくはっきりと恋愛映画の方向に舵を切ってしまっていますね。

そのために、物語自体が万人が共感できるようなテーマから、犬も食わない恋物語に変化してしまっており、当然感動する人の数は激減しているはずなのですが、だからと言ってこの作品が駄作ということにはならないでしょう。特に、ダンバース夫人が最後に言った言葉には非常に説得力がありましたが、ヒロインはレベッカとは違う中産階級の出である上に夫との年齢差もあるので多分全然問題ないことであろうと私は思いました。

こういうお話であるなら、映画ではレベッカの美しい映像を徹底的に見せて、ヒロインは顔をうつさない、語り手は死後のレベッカがとかしたら今風で面白かったのじゃないかとふと思った。

恐怖は人間にとって普遍的な感情なので、恐怖映画に勝つには正攻法では無理なんだろうと思います。

ちなみに私が初めて劇場で見た大人の映画がヒッチコックの方の『レベッカ』。

なんと10歳の時、どーしてもこれを見たかった母が私を劇場に伴ったのでした。面白かったけど、ダンバース夫人と偏執狂的にきちんと間隔を開けて書類が並んだレベッカの仕事机がそれはそれは怖かったことを覚えています。
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