ShinMakita

カムバック・トゥ・ハリウッド!!のShinMakitaのレビュー・感想・評価

1.4
1974年、ハリウッド。
弱小事務所のB級映画プロデューサー、マックス・バーバーは、今回も駄作を作って大コケ。制作費を借りたギャング・レジーからカネを返せと脅されてしまう。泣く泣く秘蔵の脚本をライバルプロデューサー・ジミーに売却し借金返済の目処が立ったその時、ジミーの新作の撮影現場でスターの事故死に遭遇。そこでマックスは閃いた。撮影現場で役者を死なせれば保険金でカネを稼げるのではないか?
というわけで、マックスは何とかレジーを説得して100万ドルを引き出し、自殺願望のある老西部劇スター、デューク・モンタナを説得して、退屈そうなウエスタン映画の製作を開始する。そして撮影初日、スタントでデュークが事故死するよう細工するが、結果は大失敗。ジジイながらも超人並な馬さばきで、デュークは難なくスタントをこなしてしまったのだ。しかもそのおかげで、迫力の名シーンが撮れてしまう始末。スタッフ誰もが「これはオスカー級の名作になる」と確信する中、マックスはただ1人、事故を起こして何とか映画がポシャるようにと奮闘する…


「カムバック・トゥ・ハリウッド!!」

以下、ネタバレスコッチ。

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80年代のインディ映画を、「ミッドナイトラン」の脚本家がリメイクした作品。巷間言われるように、「プロデューサーズ」と「ゲットショーティ」のサンプリングみたいな映画です。


映画ファンの心の広さが試される一本。とても2020年代の作品とは思えない古臭い喜劇を笑えるか。テンポの悪い演出に耐えられるか。名優3人揃い踏みなのに、なんかパッとしない画面でアクビを我慢できるか。…これが大丈夫なら、きっと楽しい映画体験になるでしょう。
いや、「死んで欲しい奴がなかなか死なない」系ブラックコメディは、確かに古臭いけど嫌いじゃない。でも、ギャグのテンポが遅くてオチにいくフリが長過ぎるのが残念。3人の中ではデ・ニーロが相当頑張っているんだけど、「グランパウォーズ」公開後じゃなぁ…馬に蹴られようが牛に突進されようが、あまり大変そうに見えなかったね。レジー(モーガン・フリーマン)が映画オタクという設定だけど、口にする映画タイトルがメジャーすぎてちょっとシラケるし。トミー・リー親父は、シリアスな場面で本領発揮、1番共感できるキャラでした。

ま、今の観客に受けない要素だらけの内容なんだけど、ちょいちょい「イマっぽさ」を差し込んでくるのは面白いところ。デュークが出演することになる映画の内容が「原住民を守る正義の老カウボーイの話」ってとこや、女性監督を起用する点など、今のハリウッドのコンプラに乗っ取っているんです。マックスにとってはどうせボツになる映画だからと全く気にしてないポイントなんだけど、この「現代基準」のおかげで映画が名作になっちゃうという皮肉が良かったですよね。

日本でリメイクしたらどうかなぁ。三谷幸喜監督、プロデューサー=役所広司、ギャング=佐藤浩市、老俳優=西田敏行ってのは面白みゼロか。
…内田けんじ監督で、プロデューサー=堺雅人、ギャング=香川照之、老俳優=北大路欣也だったら既視感ぎるか。

80年代の東宝で、岡本喜八監督の元、プロデューサー=仲代達矢、ギャング=丹波哲郎、老俳優=若山富三郎で「子連れ狼」の新作を製作する話だったら、間違いなく名作になってたよね^_^
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