emily

シングルマンのemilyのレビュー・感想・評価

シングルマン(2009年製作の映画)
3.5
愛する人を失いこの8か月感、その喪失感だけを感じて過ごしたきたジョージ。パートナーのジムとは16年の月日をともにしてきた。ジムの元へ旅立とうと、身の回りの整理をし、銃を買った。今日が人生最後の日、最後の授業に力が入ると、それに触発されたケニーが近づいてきたり、近所の女の子が可愛く見えたり。家に帰ると遺書を準備し、いざ死のうとするが、元恋人、今は親友からの電話が鳴り、破るつもりだった約束を果たすため、彼女とたわいもない時間を過ごす。またケニーとバーで会い、彼の取った行動に心動かされる。

シンプルなストーリーに洗練された映像美。新しい出会いはピンクがかった色合いでまとめられていたり、汗の滴る男性の肉体美を美しく映像化されていたり、小物類やインテリア、細部に至って上質でおしゃれなもので整えられている。

今日死ぬと思ったら、今までと違った景色が見えてくる。面倒だったものがかえっていとおしく思えたり、同じ景色も違ってみえたりするもの。その瞬間を切り取ったようなまるでPVのような映像美で綴り、心情を映し出す。時折織り込まれる回想シーンもポエティックで、よいリズムを作っている。

死のうとしても、そのタイミングを逃してしまった。しかしそれを逃したことで、この8か月間無駄じゃなかった、喪失感の中で過ごした日々も、今につながってる事に気が付く。
死を決意することで、やっと未来の希望が見えてくる。

すべてにはタイミングがあって、それが起こらないには必ず理由がある。悩んでもあがいても、なるようにしかならないのだ。時の流れに身を任せて、そのときを待てばよいだけ。
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