磨

映画 太陽の子の磨のレビュー・感想・評価

映画 太陽の子(2021年製作の映画)
3.5
太平洋戦争末期を舞台に日本の原子爆弾開発の背景を描いた人間ドラマ。2020年にNHKで放映されたドラマ「太陽の子 GIFT OF FIRE」を異なる視点で描いた作品。
ドラマは未見だけど、以前何かのTVで当時の研究者が「広島に投下された新型爆弾を目の当たりにして“あいつら、完成させやがったな…”と最初に思った」いう事を述べていた(細部は異なると思うが)
これを聞いて正常だとか異常だというより、これこそ科学者の矜持なんだろうなと妙に納得した。確か京都大学だったので、おそらく本作はその時の方々の物語なんだろうと推測。

そういった記憶があるので楽しみにしていた本作だけど、今までとは視点の違う戦争映画は個人的には満足。なかなか簡単にはいかないテーマだけど、これも戦争の顔を一つと言えるので、さまざまな角度から見た太平洋戦争は興味深い。

素晴らしいと感じたのは役者の演技。個人的には柳楽優弥の作品では一番好きだった。北斎もそうだけど、ある意味で“行き過ぎて”狂気を孕んだ演技は他の俳優には出せない凄みがある。
有村架純と、本作が遺作となった三浦春馬が戦争の残酷さを伝える“本来の戦争映画”の姿を伝える。演技力も相まってかなり印象深く、柳楽優弥も加えた3人でのラストシーンはかなり胸に迫るモノがあった。

8月6日…。まぁ、その日で間違いはないと思うけど、テーマを考えるとこの日封切りというのが適切かどうかは微妙なところ。
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