まえ

サン・セバスチャンへ、ようこそのまえのレビュー・感想・評価

3.3
モートの見るいくつもの夢が名作のモチーフ(ゴダールやトリュフォーもあったかな…)になっているのはいいアイデアだった。普段の発言は自分が中心なのに、夢の中だと自己分析がちゃんと出来たり、夢に出てくる人たちが突飛で衝動的な行動について来てくれるみたいな夢特有の感覚もわかるなぁ。

いつも通りのウディ・アレンらしい滑稽な男女の会話劇ではあるんだけど、モートがあまりにもおじさん過ぎて、付いていけないていけない。ちょうど嫌な映画が好きなおじさん過ぎて、こんな風にだけはなりたくないって思えてしまった。それが狙いなら絶妙すぎる演技。笑うにはかなり古典の映画知識とくだらなさを受け流せる心持ちが必要かも…

それとウディ・アレン自身もユダヤ系で主人公もユダヤ人で、作中にもイスラエルの話題が出てきてたのに、全然掘り下げないし、勝手に物足りなさを感じてしまった。まぁ、こういうフラットな立場の人もいるんだよって事を言いたかったのかもしれない。
まえ

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