言わずもがなの特徴的な画面作りとクセのある魅力的な登場人物たちは相変わらずで、特に今回は3分も出演時間があるかどうかのちょい役たちのセリフが際立ってて、ウェス・アンダーソンらしさが存分に発揮されてた。
ただ物語の複雑さ。劇中劇くらいならよく見るけど、劇の役者の裏舞台を追うテレビ番組っていう構造や、セリフ多いなと思ってた前作『フレンチ・ディスパッチ』以上にセリフが詰め込まれてて、たくさんの人を眠りに誘われてた。幕間の静かな時間、隣の人の寝息が聞こえるくらい。
予告の感じだとシンプルなファンタジーっぽさがあったから、なんとなく全体の評価が低めなのも少しわかる。
観客を置いてけぼりにしがちな感じは今までで1番かもだけど、やりたいことやり切った感とこんな作品が大きな映画館で大規模上映されるのは素晴らしいことだと思う。大きなスクリーンで見るからそこ良さがある。
舞台の上の自分。実際の自分。誰かから観測された自分。そこに境目なんて本当は無いのかもしれないなー。
