【自由の温度】
最近、Eテレで「みんなのうた」の特集をよく見かける。
何でも放送開始から60年だそうだ。
・・・凄いね~。本当に凄いことだと思う。
たぶん、日本人なら番組の中でかかった曲のどれかは絶対聞いたことあるよね。
番組を熱心に見ていなくても、いつか、どこかで耳にしていると思うな。
「一円玉の旅がらす」「北風小僧の寒太郎」「コンピューターおばあちゃん」「赤鬼と青鬼のタンゴ」などなど・・・。
最近だったら「パプリカ」とかもそうだよね。
で、僕のお気に入りは大貫妙子さんの「メトロポリタン美術館(ミュージアム)」って言う曲。
クレイアニメみたいな感じの映像と大貫妙子さんのほんわかした声が心地よくて、未だに頭の中に流れることがあります。
で、偶然先日Eテレ見てたら丁度これが流れてて、嬉しさやら懐かしさやらでなんだか泣けてきました。
・・ダメね~、最近涙もろいのかな。たぶん涙腺のゴムパッキンがタルタルなんだと思う(笑)
で、この作品のジャケットやタイトルを見かけた時にフっとその曲が頭に浮かんで、そのままの流れで鑑賞となりました。
ま、結論から言うと、テイストは全然違いましたけどね(笑)。
・・・舞台は、かの有名な「ルーブル美術館」。
毎日沢山の見学者が訪れる賑やかな場所で、人知れず疎外感を感じる1体の石像。
確かに見た目は普通。取り立てて特徴的なところは何もない。
見学者達の評価は「珍しいくらいの平凡」。
(どうせ誰も私のことなんか見てないんだわ・・・・)
閉館時間が過ぎたころ、彼女の横に一体の石像がふわりと舞い降りる。
それは「サモトラケのニケ」だった。
ニケは石像に「夜の美術館の冒険」を提案する。
ルールは簡単。
1、美術館から出ないこと
2、人目を避けること
3、自分の身を守ること
しかし「平凡」を嫌った石像はルールを破って美術館の外へ飛び出す。
そこには人間達が謳歌する「きらめく自由」があるはずだった。それは決して自分にはないもの。
でも、彼女が見た世界は「不平等」「不寛容」と戦う人間同士の姿だった。
「平凡」も「不平等」も時代と共にその表情は常にうつろう。
しかし、真理の部分では何も変わっていない。
もしかしたら数百年のうちに、この石像の評価は変わるかもしれない。
いや、たとえ変わらなかったとしても、平凡であり続けるという事は案外素敵なことなのかもしれない。
「平凡」を放棄すれば、もしかしたら「非凡」であり続ける努力を強いられることにも繋がる。
誰しもが本来持っているはずの「自由」という当たり前の権利を得るために戦わなければいけない人間達という矛盾。
(「普通の幸せ」を手に入れるために人間は戦うのか・・・・)
もしかするとルーブル美術館という特別な場所で、永遠に「平凡な作品」で居続ける事自体が、石像にとっての最高の評価であり存在意義なのかもしれない。