ツクヨミ

サマーフィルムにのってのツクヨミのレビュー・感想・評価

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)
4.5
"映画って画面を通して過去と未来を繋げてくれるんだよね"
高校生のハダシは映画部に所属しつつも部活内で作る恋愛映画に嫌悪感を抱いていた。そんな折に自分が思い描く"主人公"を見つけた彼女は映画製作に挑戦していく…
青春煌めく自主映画製作ドラマ作品。今作は青春×恋愛×SFな多ジャンルミックスで演出された"映画"を作る映画で心をがっしり掴まれました。夏要素たっぷりの青春劇と1から映画を作る大変さと楽しさが入り混じった人間ドラマでもあります。
そして個人的にではあるが映画好きなキャラクターは文句なく好きなので主人公のハダシは魅力的なキャラクターでした。おばあちゃんの影響で時代劇が好きになり、時代劇を撮りたいという直球さ。最初に好きになったのが"座頭市物語"で秘密基地には時代劇ポスターがずらり…時間の合間に刀捌きの練習をしたり等身大映画オタク感が心地いい。少年のように凛太郎と走り回る快活さもポイント。
また今作のセリフ"映画って画面を通して過去と未来を繋げてくれるんだよね"は映画の醍醐味を簡潔に表現していて素直に心に響きました。SF要素のあるストーリーもそれに拍車をかけて◎。ちゃんと話の展開が説得力を得てセリフを昇華している。
そして後半ハダシが何度もリテイクを撮るシーンは単純に監督としてのキャラクターを確立するためかなと思ったが、ここでハダシ監督は自分が最も表現したいシーンをこだわって作っていたんだと思いました。どんな映画でも監督が1番力を入れたシーンは内在か外在するかは関係なく存在はしていると思うので、それを探すことを自分がこれから映画を見る一つの指標にしていきたいですね。
ラストシーンは映画製作作品として型破りな展開であり賛否両論ありそうですが私は好きでした。ラストカットのかっこよさは時代劇を意識した素晴らしく美しいラストだと思います。
全体を通して青春の煌めきと映画製作の楽しさを映しつつ、恋愛映画としての魅力も兼ね備えた秀作でした。この作品を見れたことで映画鑑賞に関する指標が増えたし、時代劇にかなり興味を惹かれましたね。よかった。
ツクヨミ

ツクヨミ