事故で妻を亡くし、自身の記憶も無くした男。唯一の家族は幼いがしっかりした娘。
頼れる医師の友人からの薦めで、先端治療を行なっているという医師の療法を受け始める。
催眠療法の一種で十字の真ん中を見つめながら、過去の記憶のシチュエーションに戻り、記憶を呼び覚ますと言う。
半信半疑だった主人公だが、1度目に受けた治療で顔の見えない人間たちしかいない記憶のシチュエーションを観る、その中で何者かに襲われ、セッションを終える。
恐怖で治療を進めるのを戸惑うが、ふとした瞬間で昔行った店を思い出すことができ、治療に前向きになる。
しかしセッションを繰り返すごとに馴染みのない場所、友人から聞く自身の像とは異なる人間性を垣間見始める…一体この記憶はなんなのか。
自分はどんな人間だったのか…わからなくなりはじめる。
ここからネタバレ
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他人の記憶が混じってる?だとしたら何故?と疑問に思っていたらまさか昏睡してる人間に脳波を上書きすることで、記憶を癒着させて人格すら上書きしようとするマッドなサイエンティストな話。
ん?どっかで…あ、レプリカズが近い。
これを構想したのはブラックボックスという催眠療法の装置を作り出した、長年女性医師。
動機は死んだ息子を脳死した人間に乗り移らせて蘇生すること。
ブラックボックスの機械が催眠と脳波をいじれるものみたいだけど。それをどうやって上書きするのかわからないが、プログラムのDBみたいに簡単にバックアップ取れて、リストアできるってすごいな。
仕組みはわからないけど!って何回も言ってるから細かいこと気にしたらダメなんだろうけど、マッドな母にして子も子でDV野郎でパラノイアメーンという恐ろしさ。
結局乗っ取ろうとした元の人間の人間性が周囲から慕われ、愛されていたのに対して、自分勝手で粗野な人間であることを治療中に何度も見せつけられ、元の人間の意識を殺すまでして生きる価値がないことに気づくというなかなかドープな結末。
母親の異常な期待や押しつけで挫折して屈折した人間に2度目を与えても苦しみを増やすだけだったのだ。
続編のありそうな母親の執念の研究続行は好感度高い。復活の日は来るのか。
役所さん主演のキュアもこういう不死者を描いた作品だったのではないかと思ったので、割と好きなオチでした。