悪魔の毒々クチビル

スカイライン −逆襲−の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

スカイライン −逆襲−(2020年製作の映画)
3.5
もう上映始まってることすらこの間まで知らなかったけど、前作が最高だったし取り敢えず観とけ精神で行って来ました。


うーん…まぁ、悪くはないけど。

シリーズ最終章で舞台も基本宇宙ってことで、これまで以上にド派手な映像で畳み掛けて来ていましたがちょいちょい安っぽさが垣間見えてしまっていましたね。宇宙船の内部とか。

前作のエイリアン相手に素手やナイフなんかで肉弾戦を挑む様にぶち上がった身としては今作でどうアクションを盛り込むかも気になっていたのですが、そこも期待に応えられたかと言えばNoなんですね。
いや、格闘シーンもあるにはあるんだけど前作の様な高揚感は得られなかったです。
理由はいくつかあるんですけど、そもそも全体を通してちょっと間延びが目立つなと。
特に終盤は裏切りによる内輪揉めやエモいシーンやらで無駄に台詞が多く、アクションのテンポを悪くしてしまっていたかな。ああいう黒幕は今作には必要無かったと思います。
そのアクションも人間同士のものがメインで、動きそのものは格好良かったんだけどこのシリーズの佳境でそんなんに時間割いて欲しくなかったというのが正直な所でしてね。
ダニエル・バーンハードのような動ける俳優の活かし方が微妙過ぎました。
スケールは過去最大なのに、それに見合った内容ではなかったです。

キャラの個性も控え目でしたが、これは前作のキャラ(というかキャスト)がドンピシャだったせいもあるので仕方ないか。
主人公のローズは序盤で中々良いアクションを披露していたのでそこも期待していましたが、結局そこが一番良かったっていうね。
途中で覚醒してからは基本腕からビームを打っていれば何とかなる強キャラ化していました。ビーム打ちがキャプテン・マーベルっぽかったです。
ただ前作のオマージュ武器は相変わらずイカしていました。

大した事ではないけど、味方側の最初の犠牲者が死ぬ10数分前に建てたフラグがベタ過ぎて「あぁ、この人がまず死ぬのね」と察してしまいました。

今作ではローズら宇宙組の話と地球でエイリアンを迎え撃つグラントやフアナらの話が平行して進みますが、ここの舞台の転換がかなり雑に感じられました。
ヤヤン・ルヒアンの存在が無ければ途中で確実に地上メンバーの事を忘れていたと思います。
そのヤヤン・Mad Dog・ルヒアン、予想通りまともな出番は前作同様ラスト近辺のみでしたが、今作の方が無双はしていたのでやはり格好良かったです。
こちらとしては彼の活躍を一番楽しみにしていた訳ですからね、これじゃ全然物足りないのですよ。
というかヤヤンの撮影期間が2週間だったらしいけど、ならもう少し撮れたんちゃうんか。
あと''あの人''も回想や静止画だけでなく、少しで良いから出てきて欲しかったな。ストーリー的にも。

元々シリーズ通して雑な所が多かったけど、そこは最後まで変わらなかったです。寧ろ今回が一番大振りな気がする。
まぁ前作でエイリアンになったローズの兄とも言えるトレントの兄妹の絆とかは良かったし、ラストで明らかになるちょっとした事実にもホッとしたしである程度は楽しめました。

ちょこっとエイリアンと格闘してちょこっとゴア描写があってちょこっと感動させようとしてちょこっと派手に決めて……みたいに過去作の良かった要素をちょこちょこ残そうとはしていたので、このシリーズ好きな人はどこかしら好きになれる瞬間はあるんじゃないかと思います。作品そのものを好きになれるかは別としてね。

因みに今作にもエンディングでNG集があります。そういうのも賛否あるかもしれませんが個人的には好き。