風ノ助

林檎とポラロイドの風ノ助のレビュー・感想・評価

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)
4.5
突然記憶喪失になる病が蔓延する世界
林檎が好きだった事しか思い出せない男が治療プログラムを淡々とこなし、その結果をポラロイドカメラで記録しています

この世界にはインターネットもデジタルガジェットも見当たらずモノクロテレビやテープレコーダーなどのアナログ機器しかありません

ミニマムなSFといった感じでスパイクジョーンズやヨルゴスランティモスの世界観を彷彿させます

独特なルールや無表情な男の感情をセリフに頼らず映像で伝える作りがスマート
映像もトーンが美しく構図が素晴らしく整っていて観ていてとても気持ち良かったです

序盤は刺激もなくまったりとしていてオフビートなおかしみを感じます
中盤以降になると物語の輪郭も見え始め観終わった後は心揺さぶられました

失った記憶を取り戻すことが幸せなのか
リセットして新しい人生をやり直す方が幸せなのか
最後のクレジットを見てこれは監督の心の揺れから思いついた作品なのかなと思いました
風ノ助

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