アヤネ

林檎とポラロイドのアヤネのネタバレレビュー・内容・結末

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

2024年87本目。
うーーーんこういう雰囲気の映画は好きな類なんだけども、「新しい自分プログラム」のお題のハードルが全体的にやけに高いのが気になって集中して見れんかった。ぜったいそこ気にする作品じゃないはず。「なんで家も金も準備してくれるのに一個目のお題の自転車だけ自力調達なんだよ」とか「運転出来るかどうかの自覚がないやつに車運転させるとか下手すりゃ死人出るだろ」とか「ワンナイトラブ強制とかどういう倫理観」とか…ね、うん。そういうところがいちいち引っかかってなー、まぁ思ってたよりファンタジーだったからそういうの気にする方が野暮なんだろうけど…わかってるんだよ、わかってんだけどさ…!
でも、「喪失に耐えきれず別人として生きようとする主人公」ってのはなかなか面白い設定だなーと思った。ラスト、帰ってきた自宅を淡々と片付ける姿は、切なくもあったけど生きる意志みたいなのも感じられて良かったな。音楽も相まって余韻の残る素敵なラストだったと思う。個人的には彼は記憶喪失のフリをしてただけと思ってるけど、そうなるとテストのとき間違ってしゅんとしてるのが100パー演技ってことになるからそれはそれで怖い気もするな。
他には、プログラムを受けてる人=身元不明の記憶喪失者がかなりの数いる雰囲気だったのはなんかそわっとなったし物悲しさも感じた。でも「結構人数いるな。ひとりあたり結構かかるだろうにな。どこからお金出てんのかな。税金かな」とかそういう…つい余計なことを考えて…!だめだ!ファンタジー度が半端だからこう!変に現実とリンクする!!!来い私のイマジネーション!!!
あっあと、お墓に供えられてたお花が菊だったのにびっくりした。製作国(ギリシャ?)でもお供え花は菊なのか、それとも舞台を特定しないためにたまたま菊を選んだのか。なんにせよ、おかげであのシーンへの共感がより高まった感じもしたなぁ。そういう小物の撮り方がとても綺麗な作品でもあった。
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