むさじー

アメリカの友人のむさじーのネタバレレビュー・内容・結末

アメリカの友人(1977年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

<余命短い職人が挑む殺しに、加勢する詐欺師の友情>

ヨナタンは自分の病状に不安を持ち、残される妻子のために危険な仕事を引き受ける、切なさ一杯の真面目男。
トムはビジネスに長けた詐欺師だが、人懐っこい一面があり、家族持ちのヨナタンがうらやましくもある孤独な一匹狼。
そんな二人の友情物語である。
プロの殺し屋ならもっとスマートに仕事をこなすのだろうが、素人仕事なので観客はハラハラしながら見守ることになる。
いくらお金欲しさとはいえ、物静かな職人が殺し屋に変身するという非現実的な展開には呆れもするが、その未完成な殺しが緊張感を生んでいることは確かで、これもサスペンスの面白さかと思う。
映像では、ハンブルグの青い街並み、淡い色の浜辺、赤い車、その際立った色使いと美しさが印象に残る。
また導入部の贋作(?)画家のエピソードも面白い。
稀少性で値を上げる作戦だが、わずかな変化で贋作と見抜く眼力は凄い。
だが、目利きには分かる程度の青色の変化を付け、“疑惑”を生むことを期待する画家の心理は更に面白い。
騙し合いを楽しんでいる風である。
むさじー

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