健一

ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-の健一のレビュー・感想・評価

4.7
「アポロ13」や「ハン・ソロ」などの超大作から「ザ・ペーパー」「フロスト×ニクソン」のような規模は小さいが良作の作品まで これまで変幻自在に撮ってきた監督ロン・ハワード。
最近はドキュメンタリーにまで手を出したりして。
そんなロン監督もとうとうNetflixに参戦。
嗚呼 尊敬するロン・ハワード監督。貴方だけは『映画は映画館で観る』という劇場公開作にこだわって欲しかった。
でもラッキーなことに配信前に限定公開されるという事で 劇場へ。
本作はロン・ハワードらしさは あまり感じられなかったが 大号泣ものの感動作でした。

主演はエイミー・アダムス と グレン・クローズ。
実はこの2人には 不名誉な共通点がある。
それは これまで何回もアカデミー賞にノミネートされているのに 未だにオスカーを手にしていない点。
エイミーは6回、グレンは7回もノミネートされているのに受賞なし。
では 本作ではどうだろうか?
恐らくグレン・クローズは助演女優賞を獲るのではないか。
この作品で鬼気迫る おばあちゃん を怪演していて圧倒的な存在感を示している。
エイミーは良くてノミネート止まり。ちょっと今回も受賞は難しいかも。 とは言えグレンに負けず劣らず 劇中でキレまくってました。

よくある低所得者の家族の物語。
アメリカの隠れた闇を浮き彫りにしていると言っていい。
医療体制は乏しく、保険も効かない。薬を買うお金も無い。
街は寂れ、仕事もない。子供達、若者達は未来への希望を失っていくばかり。
しかし それは子を持つ親世代にも当てはまることだった。

本作を観て『こんな壮絶な過去を持つ家族がいるんだぁ。』と思われた方もいらっしゃると思いますが、これは🇺🇸のどこにでもあるごく普通の家庭の現状です。
この作品で描かれているような家族は🇺🇸に 腐る程いるのです。
そこに焦点を当てて映画化したのはアメリカ映画界にとって大きな一歩だと思う。

エンドクレジットでご本人達の映像が映し出されて 実話なのだと ここで知るのだが まぁそうでしょうね。
アメリカ人にとっては珍しくもなんでもない。普通の日常生活をそのまま映画化したようなもの。
Netflixなのも ここで納得。
だが、彼等の現状を殆ど知らない我々外国人には 強く胸に突き刺さる作品。 出口のない貧困のループ。どうあがいても抜け出せない。努力をしない人は。

所々に心に響くメッセージが随所に散りばめられており 泣き虫な私は何度 大号泣したことか。

『何でも言い合えるのが家族』とよく言うが、それは違う!
『何でも言う』と『思いやる』は別物だと思う。
言葉は人を殺せる。



2020年11月16日
UP LINK 吉祥寺screen 1 POP
💺63席
客入り 私を含め7人。😅

一年半ぶりの吉祥寺。街を散策。
コロナ閉店も やはり チラホラと。

ちなみに
ロン・ハワード監督作 お約束のロンの兄貴のカメオ出演が今回無かったような?
気がつかなかっただけ?
健一

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