くう

ある人質 生還までの398日のくうのレビュー・感想・評価

ある人質 生還までの398日(2019年製作の映画)
3.2
2013年5月から1年余り、シリアでISの人質となっていたデンマークの写真家ダニエル・リューの体験を描いた実話ベースの物語。

この後、ネットに流された衝撃的な「映像」が記憶に残っている。

主人公よりも「彼」よね……本当に支援したくてそこに居たのは。


監禁シーンの緊迫感と並行して描かれる家族のストーリーに泣く。

どちらかというと監禁生活の辛さよりも家族の物語に焦点が当たっているのだと思える。

命を奪うのも酷い行いだけれど、人格や誇りや希望を奪う行為は本当に恐ろしい。

デンマーク政府の対応にはイライラするけれども、国として金を出したらテロ活動資金に協力した事になるという話には納得しかない。

でも家族は息子を救いたい。一般家庭では到底集めらない膨大な額の身代金をどう集めるかも興味深かった。

他のユーザーの感想・評価

事実に基づいてるとはいえ、映画では描くことができないような、非人道的なことは、されたのか疑問です。
YosukeNaka

YosukeNakaの感想・評価

3.7
私はデンマークが大好きだ。
ただ、この映画を観るとデンマークのことを嫌いになる人が増えると思う。
テロリストとデンマーク政府は交渉しない。移民が多いし、税金を教育に重きを置いて使っているのだから立派な判断だと思う。

主人公のダニエルは言っていた。悲惨な目にあったが、シリアにはもっと苦しい思いをしたものは沢山いると。

北欧の映画らしく気持ちが沈んだ状態で終わる映画だった。実話に基づいた話だと考えさせられ、人生に幅が広がる感じがする。
f

fの感想・評価

4.8

このレビューはネタバレを含みます

 シリアでISに拘束された写真家志望のデンマーク人青年ダニエル救出までの13ヶ月。拘束後の人質たちの処遇、救出専門家とISとの交渉、身代金を集めるために奔走する家族、憔悴する恋人、政府とのやりとり等を描く。登場人物ひとりひとりの動向を固唾を飲んで見守る2時間。最後の一秒まで気が抜けない。助かるとわかっていても緊張で身体が固くなり、画面から目が離せなかった。

 救出のために政府が尽力する国とテロリストとは交渉しないと突き放す国があり、200万ドルの身代金を用意出来る家族と出来ない家族がいる。地獄の沙汰も金次第だ。国に見捨てられたら家族を頼るしかないのだけれどそもそもある人質には家族がない。命は平等でないと思い知らされるのは本当にしんどい。
 
 ダニエルは幸運だった。家族がいた。デンマークはテロリストと交渉しないが、家族は募金を呼びかけ200万ドルもの身代金を掻き集めた。彼の国には善意があった。
 
 ダニエルが助かって本当に良かったけれど、わたしたちは湯川さんと後藤さんを救えなかった。これを観てからこの無慈悲な国と民のことをずっと考えている。だって彼らが拘束されていた時クソコラで遊んでいたんだよこの国の人々は。

 13ヶ月も拘束されていてダニエルの髪と髭が伸びないのは不自然だったので-0.2。それさえなければ満点でした。
エンタメとして見るというよりかは勉強、視野を広くするために見る映画だわ
すみ

すみの感想・評価

5.0
本当にあった話を映画にしたものでは、「ウトヤ島7月22日」以来かも。どちらも結果はわかってる話だけど、ウトヤ島よりはしんどくはなかった。
この映画は拷問や監禁の酷さを語っているのではなく、裏にある国の方針であったりもっと奥深いところにあるなと思う。
しかし、身代金破格な金額、それは今も返し続けているのだろうか?と考えてしまった。
pekisan

pekisanの感想・評価

4.0
昨日に続いて今日はデンマーク映画

この映画を観て3年前の安田さんたちの話を思い出した。
終わってこの映画のトークショーの記事を読んだけど
「まだこの話は終わってない。」ていうのが現実。それでも旅を続けてるダニエル。
私には理解はできない。
家族は一文なしになってしまったのではないか。。。

日本政府の方針ってどっから確認できるんだろう、それもふと思った。
独りで勝手にデンマーク作品2本立ての1本目。
邦題でネタバレなのが少し残念。
原作に沿った命名だろうけど、結末が分かっているから、安心しながら鑑賞できてしまう(ハラハラしたり、目を背けたくなるシーンも多かったけど)。
報道写真家を続けているとのことだけど、後遺症とか、PTSDとか大丈夫なのかな?

ついハリウッド俳優に例えたくなるけど、エスベン・スメドさんが若かりし頃のユアン・マクレガーの様だった。
ayu

ayuの感想・評価

3.5
平和ボケしてる故に こんなことが起こっているなんて信じられない と思いながら見てたけど、事実に基づく本当の話。きっともっと現実は酷いだろうな。

映画あるあるの経過日数とか残日数の表示がないのがリアルだなと。

武器を持った子どもや震えながら人を殺すISの人を見ると、ただ単に殺人を犯すこの人達が悪!とは到底思えず。根本的に何が悪いのか…と頭の中をぐるぐる。

平凡で退屈な人生が一番。
2021.02.20
私なんかには簡単に言葉を発せない程に感想を述べられないけど、現実にこれが世界で起きているんだと真摯に受け止めなきゃいけないと思った。

鬼畜野郎の素顔を一度見せたあの描写がなんだか忘れられない。
生茶

生茶の感想・評価

-
記録
2021年11本目


ISに誘拐された写真家、ダニエル・リューさんの実話。
本当はこの作品の数倍は辛かったと思う。
生還されて良かったと思う反面、大きな代償になりましたね。
有望な体操選手から怪我により人生に躓いてしまったダニエル。
大会前にあんな派手なデモンストレーションすんなやー!真剣にクルクル回るなよーダニエル!
案の定の人生の迷い道にハマる。
カメラマンとして人生の活路を見出そうとしたけど、安易に戦場に入ってしまい人質に。
ここからは家族と交渉人の物語。
交渉人さん、凄い。
不謹慎だけどカッコいいわ。
私なんかあの交渉人さんが軍隊率いて救出に行くのかな?なんて思ったバカです。
あくまで交渉人。
戦うのが仕事では無い。
冷静に国と家族とISとの架け橋となっている。
家族も凄い。
取り乱しはするけど、交渉人の話をしっかりと聞き従う。
それは大事な事ですね。
身代金集めももっと苦労したはずですが、ダニエル解放に繋がる努力は本当に凄いです。
この作品の珍しい所は開放までの日数を掲示しない事。
観てる方もいつダニエルが解放されるのか分からないので緊張感が生まれます。
観ているのが辛いシーンが多いですが、そんな中でも囚われた人達なりに友情を深め、助け合い、開放を喜んでくれる。
諦めの中に希望を見つけるのは困難です。
今を生きるのに生命をかけなければいけないのだから当然です。
平凡で退屈な毎日がどれだけ幸せか考えらせられます。
ダニエルの姉、アニタ役の女優さんの足の長さに驚愕。
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