わっせ

セブンのわっせのネタバレレビュー・内容・結末

セブン(1995年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

オープニング・クレジットが最高でそれだけで観る価値があった。新聞の見出しにある”GOD”を切り取っているカットね。それだけでこの作品が神を主題にしてるってことがわかるし、なによりクソ不気味。
サマセット(モーガン・フリーマン)の部屋にはメトロノームが置いてある。混沌とした街のなかで、一定のリズムを刻み続けるそれは、サマセットを混沌から解放する役目を担っている。物語が進むうちに、サマセットはそのメトロノームを破壊する。解放を望まず、事件へ本気で向かっていくという彼の意志の表れなのだろう。
メトロノームがサマセットを混沌から解放する役目を担っているとすれば、ミルズ(ブラッド・ピット)を解放するのは? おそらく犬だろう。ラストシーンの始めあたりに、犬の死体がある。ミルズの不幸を予感させる。
ミルズの奥さん、トレイシー(グウィネス・パルトロー)はミルズを解放する役目を担わないのか?と言われると、うーん、ある一面は担っているけど、彼女も妊娠して平穏を望んでいるし、混沌とした日常から逃げ出したいと思っているから、サマセットとミルズと同一線上にいると思うんだよな。挿入曲の名を借りて”G線上”に(笑)同じ線上に立ってしまってから、ミルズを解放する役目を担えなくなった。シーンの順番は忘れたが、ミルズの「愛してる」に対し、トレイシーはなにも言わない。あれはサマセットに妊娠の相談をしてからだった(はず)。

さて、自分の一番の関心はサマセットの最後の言葉にある。「この世界は素晴らしい。戦う価値がある」ヘミングウェイの言葉を引用している(サマセットは後半部に賛成しているが)。言い換えれば「この世界はクソッタレだ。戦う価値がある。」ってことか。もしくは「この世界以外は素晴らしい。戦う価値がある。」って感じかな(笑) おそらく前者だろうけど。
ヘミングウェイの言葉といえば、他に「人生に敗北はない。死ぬことはあっても、敗北はない。」(うろ覚え)っていう言葉もあった。最後のシーンで、サマセットはミルズに「撃ったら敗けだ」と言っている。しかしヘミングウェイの言葉を借りれば、ミルズは死んではいない。自分はその意味でミルズの将来に希望を感じた。彼はまだ死んではいないからね。
ラストシーン、賛否両論いろいろあるけど、俺は好きかな。皮肉にも、混沌から解放された荒涼とした景色のなかで、ミルズとサマセットは自分達を苦しめてきた混沌と向き合う。ヘリは要らなかったかな。
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