空海花

この茫漠たる荒野での空海花のレビュー・感想・評価

この茫漠たる荒野で(2020年製作の映画)
3.8
アカデミー賞ノミネート作品から。
(撮影賞・美術賞・音響賞)

監督ポール・グリーングラス
脚本ポール・グリーングラス、ルーク・デイヴィス。
原作はポーレット・ジルズ『News of the World』
トム・ハンクス主演の西部劇。
監督とは『キャプテン・フィリップ』でタッグを。
ヘレナ・ゼンゲルはゴールデングローブ賞助演女優賞にノミネートされた。

舞台は1960年、南北戦争終結後のアメリカ・テキサス州。
退役軍人のキッド太尉(トム・ハンクス)はテキサスの町を転々としながら、人々に新聞を読んで世界のニュースを伝える仕事をしていた。

この仕事が面白い。
新聞記事の文字から物語を導き出す。
人々は熱狂したり、笑ったり。
戦争後の荒んだ暮らしにとって
大切な情報と娯楽にもなっている。
物語だけが旅の道連れ。

その旅の途中で彼は1人の少女ジョハンナと出会う。
ドイツ系だがネイティブアメリカンの元で育てられた子。
彼女は2度家族を失った。
言葉もカイオワ語しか喋れない。

この物語は西部劇的で、
心地良いお決まりの展開も。
荒野の砂煙とトム・ハンクス
知的さと落ち着き、ヒーロー的な強さ。
何という安心感だろう。
いかにも哀愁を秘めているのも良い。

言葉の触れ合いってなぜこんなに感動するのだろう。
少しずつ手繰り寄せたり、譲り合ったりして、理解し分かち合えた時の嬉しさは格別だ。
そんなシーンは他の映画でも思い出すことだろう。
空、セージ、大地、線。

このジョハンナ役のヘレナ・ゼンゲル
最初の荒々しい表情や
カイオワ語を扱う感じがとてもリアル。
ドイツ映画賞では別作品で主演女優賞を受賞しているとか…お見逸れしました。

進むためには忘れるのではない
必要なのは思い出すこと

音楽は作曲家ジェームズ・ニュートン・ハワード
撮影監督ダリウス・ウォルスキー
美しく壮大な砂の荒野は果てしなく
それにふさわしい音楽も心に沁みる。

ただ、全体的に流れる空気感が少々美しすぎるような気がした。
余裕さと手堅さがそつのないように思えた面も。
この時代の道程の困難さも描かれているのだが何だろう。
スクリーンで観ていたら気にならなかったかもしれない。
あくまで感覚的にということで。
美しい物語を観た。


2021レビュー#084
2021鑑賞No.133


“茫漠”でフィルマ検索したら
これ1作品しかなかった😲
これに西部劇鉄板?の“荒野”とは
邦題考えた人やりましたね👐(笑)
空海花

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