カンヌで脚本賞取っただけあり、作品をドライブする理知的なプロットは3時間の長尺をそこまで感じさせなかったけど、反面これまでのハマリューのキレキレな画面や、えも言われぬ不穏さが身を潜めている印象。車の中での岡田将生と西島秀俊の長い会話、ノれなかった。岡田将生は精神年齢ひくひくな役に良い感じでハマっていたのに、突然能弁になり、目を潤せカメラ目線で語りかけてくるのはしんどみがあった。
普段は棒読みで動きも硬い印象の西島秀俊が本作ではハマっていて、やはり監督の起用法次第だと思った。ただ、ゴミ焼却炉で三浦透子の身の上話を自分から訊いておいて、やたらキメ声で「いや、良いんだ」とか「そうか」とか入れてくる感じは笑った。パク・ユリムの煌めく手話、安倍聡子の圧倒的な存在感など◎
2021年はいつメン揃いの『偶然と想像』のほうに大いに期待。