“僕は正しく傷つくべきだった”
179分、尺を考えるとちょっと尻込みしちゃいますが、国内外で評価が高いので楽しみにしていた作品です。
結論から言うとそんなに楽しめなかったかな。
因みに僕は、村上春樹の小説はちょこちょこ有名作を読んでいる程度です。
出演者、揃って抑揚がなく朗読をしている様な芝居は、あぁー、村上春樹の小説ってこんな感じだよなあと思いつつ、明確な演出的な意図も感じましたが、僕には棒演技にしか観えなくてあまり好きではありませんでした。
音が感じていたであろう喪失感、家福が音を失い感じた挫折と喪失、分かるのですが、音というキャラクターにそこまで魅力を感じなかったし、人間の表裏に折り合いをつけるにしても、受け入れられない事があるのもまた人間らしさで。
“人の死”、僕も大事な人を失った経験はありますが、あるからこそ、それを乗り越えようとするシーンに共感ではなく、どこか突き放すような感情を抱いてしまいました。
それは、人を愛したことがある人なら、みんな、そうしてるんだよって。
決して捻くれた感情で観ていた訳ではないのですが、チェーホフをわざわざリンクさせ哲学的な演出にしなくても、大事な人を失った後悔や苦しみは皆感じるもので、そう深いものでもないかなって。
多言語での芝居、多様性を意識してるのも分かりますがちょっとクドく感じました。
妙に醒めた目で観てしまった気もしますが、単純に合わなかっただけかもしれませんね。
あと、広島から北海道はしんどいぞ、雪道だけどタイヤどうしたんだろ、とか余計な事も頭にチラホラと、笑。