しゅんすけ

ブレット・トレインのしゅんすけのレビュー・感想・評価

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
4.0
「ブレット・トレイン」

 デヴィット・リーチ監督による、伊坂幸太郎著「マリアビートル」の映画化。京都行の新幹線で大金の入ったブリーフケースを盗む任務を受けたレディバグ(ブラッド・ピット)は、あっさりケースを見つけ、下車しようとするも、彼に因縁のある殺し屋が次々と車内で乗り合わせ、死闘を繰り広げるハメになるというアクション。

 伊坂幸太郎の本は、中学・高校生のころに「重力ピエロ」とか「魔王」とか「砂漠」とか読んでましたけど、実写版「ゴールデンスランバー」がとにかく長い台詞と永島敏行まわりのアクションの描写がとにかくひどくて、そこから全く読まなくなったし、実写映画化もことごとくスルーしてきました。

 でも、本作は予告を観たときに、ハリウッドでブラピ主演、アクションに定評のあるデヴィット・リーチ監督ということで期待できたし、これだけ「キル・ビル」ばりにケレン味出しまくったほうがかえって、原作の世界観に忠実なのでは?と思って観ました。
 
 結論からいうと、形をかえた「デッドプール2」でした!
カメオ出演の使い方、バイオレンス描写、音楽の使い方、スローモーションの入れ方などが「デッドプール2」でウケた手法を引き続き使っている印象(悪くいえば2番煎じともいえるが・・・)でした。

 「ジョン・ウィック」1作目をチャド・スタエルスキ監督と2人羽織状態で作ったリーチ監督ですが、チャド監督が「2」「3」で、独特の美的センス、色彩感覚をもったアクションを披露しているのに対し、リーチ監督の特徴は、ドリフ的というか「トムとジェリー」的な、スラップスティック・コメディ(体を張ったコメディ)を取り入れたアクションにあると思います。本作もブラピをはじめとした登場人物皆、物にぶつかるし、刺さるし、濡れるし、撃たれるしと体を張りまくったアクションを魅せてくれてました。そこはとてもとても楽しかったです。

 ただ、終盤は真田広之だったり、ホワイト・デス(誰が演じてるかはあえて伏せますが、演技派俳優としてとても有名な方)の台詞が説教臭くて長く、ダレちゃった印象があります。

 サンドラ・ブロックがわずかながら出ていて、実は裏でサンドラ主演の「ザ・ロストシティ」と隠れコラボがなされているというキャスティングも、マーベル映画やDCのドラマシリーズ以外ではあまりない気がするので、新鮮でした。

 ブラピも来年の12月で60歳、最近はプロデューサーの印象が強かったですが、こういう大馬鹿娯楽大作映画にも出続けてくれるのはうれしい限りです。来年は、「ラ・ラ・ランド」のディミアン・チャゼル監督の「BABYLON/バビロン」も控えてるし、ますますブラピの作品に目が離せないなと感じる1作でした。