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大虐殺のzhenli13のレビュー・感想・評価

大虐殺(1912年製作の映画)
3.8
サイレントシネマ・デイズ2020 D.W.グリフィス選集にて
35分にも関わらず大作の風格。前半と後半でがらりと様相が変わる。
友人夫婦が遺した娘を育て上げた男は彼女にプロポーズするが偶然現れた若者と彼女は相思相愛になる。男はすぐに身を引き騎兵隊に志願して彼らの元を去る。結婚した若い2人は子を授かる。ここまで速いテンポで描かれる。
先住民を奇襲し、その報復を受けた騎兵隊との銃撃シーンでは俯瞰の超ロングショットでものすごい数のエキストラが動員され、馬と共にうねるような流れを作る。
その前景には熊や狐が現れる。援軍に参加した若者と共について来た娘と赤ん坊。援軍の中には詐欺師や宣教師もいる。赤ん坊を抱いた娘を円になって囲み銃撃から守る男たち。
赤ん坊をしっかり抱きしめる娘の姿がクローズアップとなり、前半に配された笑顔の赤ん坊のクローズアップとの対比となる。撃たれた男を真っ先に助けようとした詐欺師もまた撃たれ、累々と倒れる男たちに覆い重なった詐欺師の手からトランプがこぼれ落ちる。
ここでピアノ伴奏は急に静かになり、かすかな音でHome sweet homeの旋律を奏で始めた。神崎えりさんの伴奏はなんとも心憎い演出。陰惨な銃撃戦に重なるその旋律に涙が出た。
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