「究極の模倣犯」
「20世紀少年」など数多くの浦沢直樹作品にストーリー共同制作者として携わってきた長崎尚志によるオリジナル脚本を、「帝一の國」などの永井聡監督が映画化したサスペンス。本作で殺人鬼を演じるのはこれが俳優デビューとなる「SEKAI NO OWARI」のボーカルFukase。
売れない漫画家が、殺人現場と犯人を見てしまいパニックになるが、それを漫画にしたことで大ヒット漫画家になる。しかし漫画と同じ内容の殺人事件が次々に起きる。という、これはある意味設定勝ちなトコがあるぐらい、引き込まれる導入だった。正直、漫画家が殺人鬼と裏でタッグを組んで描いてるような話かと思ったけど、悪は普通にFukaseだけ。むしろ設定が面白いだけで後は真っ当な連続殺人鬼を追うサスペンスなんだけど、むしろこの展開でもめっちゃ面白かったよ。Fukaseは俳優デビューにしてマジサイコパスっぽくてようやってる。
漫画家の苦悩ぶりもちゃんと描いてるとこも好印象。売れなきゃダメって事がいつしか責任感みたいに山城圭吾を襲う。編集がかなりのクソだったな。漫画が警察沙汰になってるのに、連載を続けさせることだけしか頭にないみたいな。まあ売れる作品を出さないといけないんだから仕方ないんだろうけど。
警察側の人間2人も良い味出してるわ。特に小栗旬演じる清田が漫画好きってのもあって良いキャラしてる。まさかのサプライズもあって良かった。
しかし不満もある。特に警察の無能ぶりはこの映画でも健在。いくら戸籍消したからって監視カメラに顔まで映ってるのに全然捕まえられないし。しかもいくら本人達の意向とは言え家族を囮に使うとかダメでしょ。
一家殺人だから死人も半端なく出るし、刺しまくりでイタい描写もなかなかある。ラストの意味深な終わり方で色々想像できそうな感じもGOOD。久々に良質なサスペンスを観て満足。
