大人気漫画家のアシスタントを務める山城。彼は高い画力を持つものの、優しい性格が起因してか、どうにも良い悪役を描くことが出来ずにデビューからは遠退いてしまっていた。
しかし、漫画から離れる決意をしたアシスタント最終日に偶然殺人事件現場に遭遇してしまう...その体験を元に作品を描きあげた山城は、遂に漫画家デビューすることになるが...？！
キャラクターがもし、自分の漫画から出てきたら...？！
実録事件を参考にした漫画のキャラクターを模した殺人鬼と相対する今作だが、ミステリ・スリラーの鉄板を気持ち良いくらいにぶっ飛ばしていく裏の裏の裏を描いていく特殊な作品だった。
今作なんかは大規模に公開され、公開当時はかなり話題になっていた印象だったがまさにその世論が良くわかる作品のクオリティで大規模公開でこういったストイックな作品が人々の目に当てられるのが嬉しい、個人的にはなかなか楽しめた。
画面上の狂気もお約束をぶっ壊す変化球的な展開も落ち着いて飼い慣らせている。
キャラクターの殺しっぷり...というよりかは脚本のご都合に左右されない容赦の無さが素晴らしい、警備員の有無や警察の脳無し加減は韓国ノワール作品並みだが、ラストの展開含めて殺意・狂気の連鎖やマイナスメンタルの底なしの深さに唖然とする。
実際にここまでどんよりする作品は昨今では珍しいのでは。
映画媒体ならではのブラフの張り方や画の綺麗さも好きだったし、終始どこかに闇が生まれる照明も見事で終始不安に包まれた。
こういったどんよりエンタメを是非制作し続けて欲しい！感謝🙏
