映画全体の出来としては正直スコア1.5も行かないぐらいなんだけど（シリアスなのに主人公のおじいちゃんの能力チートすぎ、巻き込まれバディの若い男の子の方のキャラクター設定も、うーん、韓流連ドラあるあるのグダグダ感…という感じで、脚本、演出ともに気が削がれる展開多数。なのにこのスコアになるのは、イ・ソンミンの演技がとにかくすごかったから。
逆に言うとまんまだとツッコミどころだらけの作品を、ほぼイ・ソンミン一人の力でなんか見られる感じのものにしてしまっている。すごい。54歳で80代の老人を演じたそうで、ここから更に円熟していく演技を見られると思うと楽しみ。
内容的にはせっかくのテーマ（動機部分）が脚本・演出のせいでチープになってしまった感があり、かなり大事なシーンなのに学生映画みたいなカットバック使ったり、戦隊モノみたいになぜか制圧されない説得シーンとか、日系企業パーリーのシーンの和服の着付けのいい加減さとか、日本人キャスティングできてないとことかで、ちまちまと集中削がれてしまうのが惜しい感じだった。
リドリースコットのブラックレインなんかは、エンタメと二次大戦の歴史を絶妙な感じで入れ込み（あれも色々と変な演出ははあるのだが）、とにかく老いた日本人役に若山富三郎みたいな重鎮使って重厚さを醸してたのがよかったんだけど、そういうとこがなんか端端で不足してたなーと思う。
そろそろ日韓双方とも国内向けじゃない形で占領期を描く映画に取り組む必要があるんじゃないか…と思った。今回の映画についてはアクション映画のネタとして消費されてしまった感が強い。エンタメなんで気にしないでください、と言われればそうかもね、なんだけど。
でもホラーゲーム発祥の映画「返校」なんかには不思議とそのへんの歴史の描き方への雑さをあまり感じなかったんだよなぁ。なんでだろう。
