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竜とそばかすの姫のNEWおっさんのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
2.5
「SNSでイキるな」

ここ数作は不評が続いてる細田守監督最新作。仮想世界「U」と現実世界の間で揺れる少女の成長物語、とこう書くと氏の良作「サマーウォーズ」を思い浮かぶが、さて。

結論から言うと演出や音楽は良かったが、話や設定が無茶苦茶過ぎて全然入り込めなかった。そもそもUって一体何するトコなのか良く分からん。こういうオンライン世界ってあんまり詳しくないんだけど、例えば協力してボスを倒すとかイベントこなすとかなのに、この世界って少なくとも劇中ではただただアバター作っていてるだけの世界にしか見えないんだが。そういう設定の地盤が不安定だからアンベイルとか言われても??ってなる。しかもあれだけ最悪なコトしてる竜がこの世界に居れるのもおかしいだろ。なんか自警団的な人達もいて必死に竜を消そうとしてるが、そもそもの運営元は何やってるのか。

それに比べて現実世界はまあいきなり歌唄って注目されるというご都合主義展開が多々あれど、終盤まではまだ見れる展開だったが、クライマックスの展開が雑過ぎて見てられんかった。本当の自分をさらけ出して世界中を感動させるまでは、んー、色々言いたいことはあれどまだ良しとしよう。しかしそこからあるマンションに行くのに、なんで主人公1人で行かすのか理解できん。全員は無理としても大人たちがついていけよ。

竜の正体もサプライズ的には微妙に感じたし、良かったのはルカとボート部の部員のニヤニヤさ加減ぐらいか。美女と野獣のオマージュはまあ別に良いんじゃないか。余りにもまんま過ぎで逆に笑ったけど。

これ結局さ、SNSや仮想世界のプレイヤーとかでイキらないで、実際に面と向かって言いたいことは言えよ、ってなコトを言いたかったんじゃないか。特に監督が監督だけにそんな穿った見方をしてしまうわ。

音楽はかなり良かった。主人公の声優さんが実際に唄ってるってのは意外と珍しくて、素人な普段の喋り方と綺麗な歌声とのギャップが却って味になっていて良かったな。その他演出面や映像の煌びやかさも良い。仮想世界と現実世界の真逆な描き方も上手い。何よりこの監督の作品は田舎の風景がノスタルジック感じまくりで良いんだよなー。

と、話以外のトコで見れたかな、ってな感想に落ち着くな。前作の「未来のミライ」よりかは良かったが、もうちょっと話をリアルっぽくして欲しかったし、ちょっとメッセージ性を抑えて欲しいとも思う。