夢みがちな楽観的ネット論
監督の言いたかったテーマって、「ネット(特にメタバース)の良さはもう一人の別の自分になれるっていうのが常識だけど、そうじゃなくてネットで本当の自分をさらけ出してもみんなわかりあえるはずだ」ということだと思いましたが、ちょっと楽観的すぎて共感できませんでした。
これからどんなふうにネットの価値観が変わっていくかわかりませんが…やっぱり匿名性の面白さや利点、人生のセカンドプレイスとしてのネットという要素も残っていく気がします。
それともうひとつのテーマ、鈴ちゃんの成長。これはお母さんがどうして他人のためにあんなことできたのか理解できなかった鈴ちゃんが、自らの竜への思いや行動をつうじて、はっとお母さんの気持ちを理解する(そして精神的に一皮むける)脚本は、うまい!と思いました。
ただ、鈴ちゃんの成長(=無償の愛への気づき)を表現するために美女と野獣の設定を借りる必要があったのか?? さらには、鈴ちゃんがどうしても50億人の中から竜の正体を見つけ出したいっていう動機や、わざわざ田舎から東京まで助けに行く動機が説得力をもって描かれていたか? と考えると、なかなか苦しいものがありました。
ネットのレビューでは、気持ち悪い映画かとか酷いこと書かれてるものが多かったですが、そこまでは感じませんでした!
2022.7.16