KnightsofOdessa

ウォーターシップダウンのうさぎたちのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

3.5
[ウサギたちの『ロード・オブ・ザ・リング』] 70点

ウサギ版『出エジプト記』であり、ウサギ版『ロード・オブ・ザ・リング』であり、児童文学のくせにありえん大量の血が流れる大戦争を繰り広げる。動物・アニメという雑なくくりで話せば『動物農場』に近いのかもしれないが、あちらが寓話であったのに対して、本作品はマジのウサギなのだ。だからこそ、世界は彼らの低い目線から見上げるように語られ、知らないものはより大きく見える悪夢的な幻想も重なる。原始的生活に合わせた神話体系の演出もアニメならでは。

平地に暮らすヘイゼルたち一行が"約束の地"を目指して集落を出て、徐々に仲間を増やしたり、危機を切り抜けたりして辿り着く少年漫画的な前半から打って変わって、"あれメスいねぇじゃん"からの隣村襲撃展開には爆笑の嵐。アート・ガーファンクルの主題歌が彼の甘い歌声と相まって、謎のフォークロア感が出ているんだが、ファイバーの見る幻視との親和性が異常にいい。

これを子供に見せていいのかは微妙な感じするけど、英語圏の児童アニメって銃撃戦やら乱闘やら結構過激なのが多いし、いいんじゃないのかね。
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