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ホロコーストの罪人のmiiのレビュー・感想・評価

ホロコーストの罪人(2020年製作の映画)
3.7
この作品は ユダヤ人への虐殺の場面がまったくないのが
他と違いました。
悲惨なその場面がなくとも
地面に穴を掘らされている姿や
裸にされ 大勢の者がどこかに向かって歩く姿などが
その後を連想させてしまう 辛い物語でした。

物語の中には
ドイツ軍によって 否が応でも従うしかなかったノルウェー人が描かれています。
粛々と名簿をチェックする女性も
良心を咎める事をしていても
何もできない歯痒さであったり
ユダヤ人の隣人の者が 今できる精一杯の優しさが垣間見れたり
哀しいかな 彼等のてきる事はそこまでなのです。

ブラウデ一家の離散がメインですが
生きられるか否かの分かれ道が無常に感じました。
いきなり どうしてこんな事になってしまったのだろう?
真実を知らされない 見えない恐怖です。
初めは男たちが連行され
後になって母親が連行されますが
ドイツへ向かう船の桟橋で家族は再会します。
船に乗り込もうとする母親を見つけ
必死で呼ぶ声に 胸に込み上げるものがありました。
一家の向かう先は アウシュビッツ···

これは製作国がノルウェーである事から
忘れてはならない歴史と繰り返してはいけない歴史として
自国の戒めとして作られたのでしょう。

ですが 他の国でも
冒頭に書いたように ナチスの惨劇を頭に描く事ができるという事は
それだけホロコーストの悲劇が私たちに根付いているという事。
この事だけでも 彼等の悲しみに少しは報いる事ができているのかなと
鑑賞後に想いを馳せた1作でした。
mii

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