ベべべっち

茲山魚譜 チャサンオボのベべべっちのレビュー・感想・評価

茲山魚譜 チャサンオボ(2019年製作の映画)
4.5
モノクロームのソル・ギョング

鑑賞直後の段階では、今年映画館で観た韓国映画の中で一番良かった作品。

島流しにされた天才学者と、貧しいながらも学問に励む若き漁夫の師弟関係を描く。
実話に基づいた物語。

まずは天才学者役のソル・ギョング。
言われてから気づいたけど、初の時代劇作品らしい。
なんか他にもめっちゃ出ているイメージだったのでびっくり。
初めてとは思えないぐらいどハマっていた。

そして勉強がしたくて堪らない漁夫役のピョン・ヨハン。
今年観た『太陽は動かない』以来だったけど、断然こっちのほうがいい。
今作の方がだいぶ若々しかった。

物語の舞台は1801年の朝鮮。
第22代国王が死去してしまったことにより、カトリック教徒がことごとく迫害される事態に。
ソル・ギョング演じるチョン・ヤクチョンも命の危機に瀕するが、結局、黒山島という小さな島に流される。
そこは決して豊かではなく、素っ気ない島だったが、海の生物には恵まれていた。

その島で暮らしていくうちに海洋生物学書を書き記したくなったソル・ギョングは、島で1番海に詳しい若き漁夫に知識の交換を持ちかける…というのが大まかな内容。

主演の2人が師弟関係でありながら、友だちとしても仲を深めていくところが、けっこう見どころで面白い。

あと、今作の最大の特徴がモノクロ映像であるということ。
物体や人物が持っている本質的な形態がよりはっきり伝わるらしく、作中の時代の人物の物語をより近くに感じることができるんだそう。
韓国映画でモノクロの作品はあんまり見かけないので逆に新鮮だった。
終盤のそれを上手く使った演出も好きだった。

キャストは、主演の2人が以外だと、リュ・スンリョン、チョ・ウジン、キム・ウィソン、チョン・ジニョン…など意外と豪華。
(『パラサイト〜』のおばちゃんがイ・ジョンウンっていうのは今回で知りました。)

とても静かで上品な時代劇は本来そこまで好みではなかったはずだけど、最初から最後まで全く飽きること楽しめて良かった。

P.S.
モノクロの映像美を例える時に「水墨画のような〜」しか出てこない🙄💦