第93回アカデミー国際長編映画賞部門で、既にメキシコ代表の出品作として選出されている作品。
メキシコのコロンビア人地域でクンビアのダンサーとして夢を追いかけていた17歳の少年が、政治的な変動の中でトラブルに巻き込まれ、違法でニューヨークに逃亡。見知らぬ街で中国系の少女と出会い、自らの活路を見出していく様子を描いている。
何と言っても、日本人がなかなか触れる機会のない中南米の生活やクンビアの文化に触れられるのが良い。主人公ウリセスのファッションやダンスがとても個性的で、観ているだけで何だかワクワクしてしまう。正に地球の反対側。しかし、背景として描かれる社会は決して平和とは言えない。
現地の政治事情や文化について詳しい説明があるわけでは無いので、一見しただけでは作品の深い部分まで理解できないが、だからこそ荒んだ社会の中で心を通わせる少年少女の気持ちがダイレクトに伝わってくる。
まだ在日韓国人問題に関する知識が十分ではなかった頃に観た日本映画「GO」で、窪塚洋介演じる在日韓国人の少年が、柴咲コウ演じる日本人少女と恋に落ちる様子にドキドキした、あの感覚を思い出した。絵になるシーンが満載。