emily

しあわせのパンのemilyのレビュー・感想・評価

しあわせのパン(2011年製作の映画)
3.1
北海道・洞爺湖のほとりの小さな町・月浦を舞台に、宿泊設備のある焼き立てパンが食べられるカフェ マーニーを営む夫婦と、そこに訪れるお客さんのヒューマンドラマを絵画のような風景と、香りまで伝わりそうな焼き立てパンとコーヒーと共に綴る。

まぶしいまでに明るく鮮やかなキラキラした映像は、まるで絵本の一ページの世界みたい。マーニーは柔らかい雰囲気のカフェで、そこに優しい笑顔で、年齢不詳のどこか人間離れした原田知世演じる妻がいる。アクを抜いたその空気感に溶け込んでパンを焼く大泉洋が居る。音と視覚効果だけで、香りまで漂ってきそうな美味しそうなパンの数々。

シンメトリー構造にこだわり、月や人の配置もどこか偽物で、おもちゃのように感じる。何かを抱えてる妻だが、それは全く語られない。お客さんのドラマの中で、なんとなくふっきれていく。そう、語らなくてもそばにいるだけで心が癒される。カフェマーニーはそんな存在なのだ。

ただ手でちぎったパンを分け合って食べる。手でちぎったパンを渡すってそこそこ勇気が要る事で、だれにでもできる事ではない。そこにはある程度の信頼関係がいる。そうゆう相手がいるってことはそれだけで幸せで、誰かと分け合って食べる、誰かと一緒に食事をする。その時間を失ってその幸せに気づくことが多い。日々の食事、大切な人との食事。永遠に続くようでいつ終わるかわからない・・

あなたにはパンを分け合って食べれる相手がいますか?
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