てっぺい

アクアマン/失われた王国のてっぺいのレビュー・感想・評価

アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)
3.5
【アクアライド映画】
海中を泳ぎ、駆け、飛び回る。アクアライドを体感するそのど迫力もさることながら、軸にあるのは兄弟愛と家族愛。普遍のテーマに心温まる、DCの一つの区切りとして1番の適切解な作品。

◆トリビア
○DCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)は本作を持って一旦終了。2025年7月に公開される、新スーパーマン映画『スーパーマン:レガシー』からDCユニバース/DCUという新しい映画世界がスタートすることが決まっている。(https://bookstand.webdoku.jp/cinema/sugiyama/202312/22211419.html)
ジェイソン・モモアがアクアマンを演じるのも本作が最後となると言われている。(https://www.vogue.co.jp/article/aquaman-and-the-lost-kingdom-flooded-with-drama)
〇ワン監督は「モモアはアドリブが大好きで、この映画では彼のアドリブから沢山の面白い瞬間が生まれた。監督としての仕事は、アドリブをやっていいときと悪いときを伝えることだけだった(笑)」と、モモアが楽しみながらアクアマンを演じていたことを告白した。(https://www.cinemacafe.net/article/2023/12/12/89058.html)
〇オームについてワン監督は次のように語る。「悪役キャラが次の物語で強力な味方になるというストーリーこそ“主人公たちに相応しい冒険”だ。前作がオームの欠点を見せる伏線だとしたら、本作が彼にとって名誉挽回の回になる。」(https://eiga.com/news/20231209/5/)
○メラを演じたアンバー・ハードは、ジョニー・デップとの離婚をめぐる訴訟が泥沼化。2022年にアンバーの実質的な敗訴となり、出演シーンのカットの声も出た中、本作の公開後には一部で炎上した。(https://safarilounge.jp/online/culture/detail.php?id=14988)
出演シーンは20分に満たず、セリフはわずか11。更新された新しい脚本では、別のキャラとの戦闘シーンなど多くのシーンがカットされたという。(https://www.vogue.co.jp/article/amber-heard-11-lines-as-mera-in-aquaman2)
○ ニコール・キッドマンはアトランナについて「彼女は息子を守るため自分を犠牲にできる強い女性。私はそんなところに惹かれましたし、ワン監督も『彼女はこのストーリーの“ハート”だ』とその重要性を教えてくれました」と解説。監督も「この映画で僕が大事にしているのは、親子、夫婦といった家族同士のつながり。特にアトランナと夫とのシーンは特別です。」と力説する。(https://moviewalker.jp/news/article/1170818/)
○ブラックマンタのスピンオフ単独映画『The Trench』が製作される予定だったが中止に。そのアイデアのうちいくつかが本作で使われたと監督は明言した。(https://jp.ign.com/aquaman-and-the-lost-kingdom/70566/)
○ワン監督は「もっと向かうべき場所がある」と第3作の可能性を示唆した。(https://jp.ign.com/aquaman-and-the-lost-kingdom/70543/news/3)
○ ベン・アフレックがバットマンとしてカメオ出演する予定があったが、本作の公開が大幅に延期され『ザ・フラッシュ』よりも後となり、『ザ・フラッシュ』を最後にアフレックのバットマンが退場となったため、カットされたという。(https://jp.ign.com/aquaman-and-the-lost-kingdom/69266/news/dcu3)
○「海底遺跡」と呼ばれる海底地形を持つ日本最西端の地・与那国島と本作が姉妹都市提携。アンバサダーに就任した小島よしおが「そんなに関係ねえ!」とギャグを披露した笑。(https://moviewalker.jp/news/article/1170506/)

◆概要
『アクアマン』('18)の続編で、「DCエクステンデッド・ユニバース」の第13作目。
【監督】
「ワイルド・スピード SKY MISSION」ジェームズ・ワン(前作から続投)
【出演】
「ワイルド・スピード/ファイヤーブースト」ジェイソン・モモア
「死霊館」シリーズ パトリック・ウィルソン
「ムーラン・ルージュ」ニコール・キッドマン
「リリーのすべて」アンバー・ハード
「マトリックス レザレクションズ」ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世
「エクスペンダブルズ」シリーズ ドルフ・ラングレン
「アントマン&ワスプ」ランドール・パーク
「インディ・ジョーンズ」シリーズ ジョン・リス=デイヴィス
【原題】
Aquaman and the Lost Kingdom
【製作費】
2億500万ドル(https://realsound.jp/movie/2023/12/post-1530489.html/amp)
【公開】2024年1月12日
【上映時間】124分

◆ストーリー
はるか昔、南極の氷河の奥深くに封印された「失われた王国」。そこには、世界を滅亡させるほどの力を持つ伝説の古代兵器ブラック・トライデントがあった。ある日、アクアマンへの復讐を誓うブラックマンタがブラック・トライデントを見つけ出し、邪悪な力が解き放たれてしまう。5億もの海の生物を操ることのできる海底アトランティスの王アクアマンは、かつてない脅威から海と地上の世界を守るため、仲間たちとともに立ち上がるが……。


◆以下ネタバレ


◆アクアライド
なんといってもこれ。“5億”の仲間がいるアクアマンがシードラゴンに乗り、海を駆ける颯爽とした姿にシビれる冒頭から(「BORN TO BE WILD」が最高!)、会議中のゆらめく髪の毛もさながら、海中の色んな乗り物も登場し、まさにアクアライドな気分(4DXが楽しそう)。個人的にはブラックマンタの海中船が360度シャチや鯨に囲まれたあのシーンはホラーでしかなかった笑。ラストの王国崩壊からの脱出劇は、よくある演出ではあるものの海のものでは話は別。シードラゴンで海上に脱出したアーサー(コパもしっかりしがみついてた笑)まで迫力満点、“海のワイスピ”と呼ばれるのも合点がいく内容だった。

◆バディ
前作では争いあった兄弟が、本作では共闘。はじめは“事が終わればまた牢屋にぶち込んでやる”や“兄弟と呼ぶな”と心の壁があった2人が、幾度のピンチも乗り越えながら次第に心を通わせていくバディ感が本作の一つの軸だった。地上での走り方やゴキブリの味を教えるコメディもあれば笑、互いのピンチにヘルプに入るアクションが爽快。特にブラック・トライデントをオームがアーサーに手放すシーンでは、前作でのアーサーへの遺恨の描写も挟まれ、オームの心の奥底、そしてその機微が描かれる素晴らしい演出。アーサーに最後のトライデントを手渡すシーン、そしてラストの握手も含めて2人の絶妙な距離感が何とも微笑ましかった。

◆真の王は架け橋になる
ジャングルでオームが“例え”だとしてアーサーに告げた言葉。あの場では冗談のように石像が架け橋になったが笑、ラストではその言葉をアーサーが告げる事で呼応する。アーサーがアトランティスと地上の国に求めた同盟は、海と陸と両方の血を引く彼だからこそできた事で、それはまさに“架け橋”であり、“真の王”の証。そんな、真の王となったアクアマンのワンショットで終わるラストカットは、“俺がアクアマンだ”のセリフでエンドロールへ。父でも兄でもあり、王でもあったアーサーは、その何よりもまずアクアマンであるという自負が、本作のラストとして何よりも相応しい。本作で最後となるDCEUは、ポストクレジットの演出がない事で如実にそれを物語りながら、本作がそれこそDCUへの美しい“架け橋”となれるよう、その成功を期待したい。

◆関連作品
○「アクアマン」('18)
前作。DC映画史上最高興収を記録した。本作への伏線もエンドでしっかり。プライムビデオレンタル可。

◆評価(2024年1月12日時点)
Filmarks:★×3.6
Yahoo!検索:★×3.8
映画.com:★×4.5

引用元
https://eiga.com/movie/94459/
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/アクアマン/失われた王国
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