Lato

レミニセンスのLatoのレビュー・感想・評価

レミニセンス(2021年製作の映画)
3.5
退廃した世界で、人は過去に救いを求める。

この映画は「記憶装置(レミニセンス)」という舞台装置の物語ではなく、記憶装置が存在する世界のディティールや人間の心情が中心の物語。
あくまで所感値だが、ジャンル比率は【SF:ミステリ:ロマンス=1:6:3】くらいなので、クリストファー・ノーラン監督作品のような衝撃と斬新さを求めて観にいくと、拍子抜けすると思う。

ただ、練られたストーリーラインが凄く綺麗なので、それだけで映画館に行く価値はあると思う。「過去」が主題なだけに、物凄く時系列が前後するのだが、びっくりするぐらい分かりやすく出来ている。
「過去の亡霊を追い続けた者は、未来を揺るがすターニングポイントさえも失う」という皮肉も含めて、私はすごく好き。

遠いディストピアの話だが、
誰しも、ニックのような過去の亡霊を追う者になる可能性もあるし、
ワッツのような過去を割り切って未来に進む者になる可能性もあるように感じる。

もう少し私が年を取ってから観たら、また違う受け取り方をするかもしれない。
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