zhenli13

終わりのzhenli13のレビュー・感想・評価

終わり(1992年製作の映画)
4.3
当時参考資料として紹介されアルタヴァスト・ペレシャンを初めて観た。列車に乗り合わせたさまざまな年齢の人、さまざまな民族の人の姿が次々と映される。線路のつなぎ目を通過するガタンゴトンという規則的な音と合わさり、それだけで面白くぼんやり観ていてトンネルから光を得た瞬間、バッハ「ヨハネ受難曲」が被さってきた。すっかり油断していたこの瞬間鳥肌が立ち、そこから見えるもの全てにやたらと涙が出てきた。そう、タルコフスキー『鏡』のラストにかかるあの曲。しかもタルコフスキーよりペレシャンの方が数年早い。
それでまた面白く観ていて、ああ夜になったのかなぁ月が見えるなぁなどと思っていたらそれは夜でも月でもなかった。
何かが映されているということの、ただそれだけの面白さ、裏切り、それがこれだけの短い時間に繰り返し用意され、ホワイトアウトへ放擲された末にズームアップしてきたконецがタイトルでもあるということに、最後の最後まで驚かされこの作品が好きになってしまった。
zhenli13

zhenli13