TaichiShiraishi

SNS-少女たちの10日間-のTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

SNS-少女たちの10日間-(2020年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

こんな怖い映画かつ、同じ男として身につまされた映画はなかった。自分は小児性愛者じゃないし…と距離を置いた見に行ったつもりだったが、早い段階で劇中内で専門家が「加害者のほとんどは小児性愛者じゃなく、単に無知(だと思っている)格下の相手を好きに扱いたい加害欲がメイン」という現実を提示するので、ハッとさせられる。モテるわけでもないし、好きな異性と両想いになった経験よりそうじゃない経験のほうが圧倒的に多いので、そんなことするわけないと思っていた自分でも安全圏にはいないとゾッとしてしまった。

出てくる男たちはみんなモザイクがかかっているのだが、またそのモザイク処理が意地悪かつ的確で、目の周りと口元だけモザイクを抜いていて、誰かはわからなくても彼らの持ついやらしさと性根の腐った雰囲気が存分に出ていて、男目線で見てもゾワゾワしてしまった。劇場には何人か女性客もいたのだが、小さい悲鳴も聞こえたし、中盤に清涼剤的にちょっとまともな男性が出てきた時に、泣いている声まで聞こえてきたし、男と女で見ている世界が違うというのが実感させられる。



SNS世代の少女(少年も被害者に全然なりうるけど)たちがどんな危険性にさらされているのかと思うと、本当に恐ろしい。



そんな現実を余すことなく描いているのだが、出てくる男たちは理解不能な怪物ではなく、あくまでも誰もが持っている性欲、支配欲、自己承認欲求で動いているので、そのしょうもなさが際立って、彼らの行動のワンパターンぶり、アホさに爆笑してしまうのも確か。



日本で言うと『水曜日のダウンタウン』のような、人間のしょうもなさを身もふたもなく見せるブラックな笑いも多数あるので、正直楽しめてしまう。



ただ、笑い事ではないことを描いているし、チェコの問題ではなく全世界の社会問題、なんなら欧米よりロリっぽい女性が多いし、ロリコンも多いし、法律も甘い日本でおんなじことをやったらもっと目も当てられないことになるのではないかと考えさせられてしまう衝撃作だった。
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