えいがうるふ

SNS-少女たちの10日間-のえいがうるふのレビュー・感想・評価

SNS-少女たちの10日間-(2020年製作の映画)
4.0
ドキュメンタリーとしての綿密な舞台の作り込みと出演を決意した女優たちの勇気(あるいは好奇心?)にまず感心させられる。
ただ、企画としては確かに意義のあるものだったと思うが、見せられる内容はひたすらキモい。予想以上にあっさり最低の下衆が釣れてしまう現実に震撼する思いがしたが、日本のどこかでもこの映画と似たようなことが日々起こっているのだろうと思うとゾッとする。

だからこそ、この作品がその描写のあまりにもリアルなキモさ故に「吐き気がした」等の率直な印象だけで評価が低く付けられてしまうことを私は残念に思う。
残念ながらこれがネットの世界のダークサイドの現実なのだろう。キモいグロいと目を背け観ない知らないで済めばいいが、残念ながら自分の身内や友人がいつ関わるとも知れないすぐそこにある闇なのだ。

掃き溜めの鶴のように現れたイケメン男子だけが途中からぼかし無しになる演出はちょっと出来すぎだが、散々グロ画像を見せられた後の清涼剤としては確かに絵的に救いにはなっていた。(だからこそ、もしこれがサイコスリラー系のフィクション作品ならが彼こそが一番ヤバい人物では?と疑ってしまうところだ)
彼はただ真っ当なことを言っているだけなのに、そのあまりのまともさに思わず女優が涙してしまう下り、仕事として割り切って引き受けたとしても実際は深く傷ついていただろう彼女たちの心を察してつい母目線になって胸が痛んだ。
ただ、唯一登場するまともな男性が他のケダモノおじさん達と比べて見るからに爽やかでルックスが良過ぎるのは被害者予備軍の未成年に対する啓蒙としてはいかがなものかとも思った。これでは人は見た目で判断して良いという逆メッセージになりかねない。大人による補足が必要。