竜平

ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカットの竜平のレビュー・感想・評価

4.5
「DC・エクステンデッド・ユニバース」の第5弾にあたる『ジャスティス・リーグ』の再編集版。元々の監督ザック・スナイダーが諸事情で降板する前の初期構想をもとに、自らの手で甦らせる、ファン待望の正真正銘「ホンモノ」バージョン。

今作の製作に至るまでの経緯はまぁいろんなとこで説明されてると思うから敬称略。なんやかんやあってジョス・ウェドンに引き継がれることになり2017年に劇場で公開された『ジャスティス・リーグ』、あっちはあっちで好きだったし、てかそもそも当時はこれだと言われて見せられたわけだから、そうなんだと思って大いに納得しつつ楽しんだ。で、この『スナイダー・カット』が発表され鑑賞した今思うことは、いやもう俄然こっちだなと、これこそが『ジャスティス・リーグ』だなと。まず雰囲気、音楽、テンポ感などの変わりようが再編集の域を越えてる、ほぼ別物ってなレベル。てかこれまでの世界観ってやっぱこうだったよなと、シリーズものとしての繋がりをバッチリ感じれるはず。ストーリーとしては細かい出来事などがちょいちょい変わってるものの大筋はそこまで変わらず、あくまで一度発表したものを再度まとめて着地させることに徹してる印象。これがまた上手いこと修正・補足されたなと。ウェドンが手掛けたというシーンは今作ではすべてカット、ということでちょっとしたユーモア部分やギャグっぽいセリフなど明るい要素がほぼなくなって、めちゃくちゃダークに。監督次第でこんなに作風変わるんだね。で、ウェドン版でカットされてた未公開シーンの数々と、CGシーンの大幅な追加と、更にほんの少しではあるけど追加撮影されたというシーン、これらが加わっての段違いに増した「深み」というのが素晴らしい。

まだ単独で映画化されていない「フラッシュ」や「サイボーグ」の細かなエピソード、とくに今作はサイボーグこと「ビクター・ストーン」のオリジンストーリー的な部分も担ってるように感じる。ウェドン版では足早すぎてわかりづらかったストーリーの流れ、細かい設定というのも今作ではしっかりじっくり説明してくれてて、尚且つ前作『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』にあった伏線というのもようやく回収してくれる。ブルースが見る悪夢についてとかね。そうそう、正体こそ知られてないものの20年間も戦ってきたというだけあってこの世界では有名人の「バットマン」。他の超人たちも彼の名前だけはバッチリ知ってるという、この世界観もDCEUならではなんだよなーなんて。あとはやっぱりジャレッド・レトー版「ジョーカー」の再登場シーン、これもほんの僅かながらめちゃくちゃ魅力的な部分。今作は一応7つのチャプターで分かれてるけども、これは一息つくために挿入されてるようなニュアンス、ドラマシリーズ感覚でなくあくまで一本の映画として作られてる印象。恐らく分けて見ると流れとかわからなくなると思う、というわけで4時間、一気に見ること推奨(どどん!)。

何気に、DCEUとしてすでに製作され描かれている『アクアマン』や、ギリギリ『スーサイド・スクワッド』『ハーレイ・クイン』関係にも繋がりそうな造りになってるのも見事。ユニバースとしての全体的な流れが整理された気がする。とまぁ公式によると、あくまでウェドン版がシリーズとしては「正しい歴史」であるとのことで、いやーーそっちよりも今作の内容から今後派生していくことを大いに期待しちゃう。てか今作でまた新しい伏線も張られるし。ということでせっかく広げたこの風呂敷、また広げっぱなしで終わらすようなことになったら怒るよ。ちゃんと続き作ってねスナイダー、いつまでも待ってるからね。応援してるぜDCEU。
竜平

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