Machi

スプートニクのMachiのレビュー・感想・評価

スプートニク(2020年製作の映画)
3.3
任務中の事故から唯一生還した宇宙飛行士はある問題を抱えていた。女性医師タチアナは彼の空白の記憶を呼び覚ますため軍に召集されるのだが…。

パケ詐欺甚だしい。ここまで潔いと、いっそ清々しい。適正なジャンルは絶対にサバイバル・ホラーではないのだけど、サバイバル要素もホラー要素も確かにちょっと存在しているのが憎らしい。思てたんと違う。しかし、これはこれでアリ。

ロシア産SF、B級感漂うパッケージ、『全米大ヒット』の煽り文句。これだけ地雷臭を漂わせておきながら、蓋を開けてみるとまさかのドラマメインの文学風SF作品なのだから驚き。
パッケージから連想するアクション要素は皆無。主人公は一発も銃を撃たずに終わるし、ズラリと並ぶ特殊ヘリは登場すらしない。

物語は宇宙飛行士の体内に潜む何かについて淡々と進む。それは寄生か、共生か。外部から呼ばれた医師である主人公は、詳細を知らされぬまま得体の知れない存在と向き合うことになる。

展開はひたすら地味なのだけど、VFXのレベルが高く、エイリアンの描写が想像以上に良いので画面に求心力がある。低予算な印象はあまり受けない、というか地味な割に結構かかっているんじゃないだろうか。

個人的に良かったのは、主人公の行動理念が暗示されるラストシーン。曖昧な描写ではあるものの、中盤以降極端になる主人公の行動の理由付けまでされているのは意外かつ好感がもてる。

パケ詐欺かつ地味な作風ながら、硬派なエイリアンものSF作品としてしっかり作られているので、興味を持ったなら見て損はないと思われる。
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