鎌谷ミキ

Arc アークの鎌谷ミキのレビュー・感想・評価

Arc アーク(2021年製作の映画)
4.2
【不老不死。それは人類にとって本当に必要か】

[三行あらすじ]
リナの17歳から100歳〜その後の人生を描く。リナは30歳の時に「不老不死」の処置を受け、永遠の命を得る。そしてリナにとってそのことがどのように人生を左右するのか…

[レビュー]
最近見放題に追加されたわけでもないけど、オススメで見て。ちょうど連続SFになりましたね。私にしては珍しい。全くベクトルが違うのも面白い。
原作が存在します。ケン・リュウ著『紙の動物園』の「円弧(アーク)」SF短編小説です。

石川慶監督は短編しか観たことないんですけど、独特な表現されますね。ネタバレになるから、演出が一時代だけ違うということだけ。

人間の永遠の夢、願望。不老不死。それを世界で初めて得た女性のお話ですね。
まず芳根京子さん。今25歳ですが、17歳からXXX歳まで演じていることがスゴい!一応30歳で不老不死になってるので、姿は30歳ではあるんですけれど。老けないはずなのに、周りから80代の足音とか言われるぐらいです。

そして本作は風吹ジュンさんと小林薫さん夫妻のことも丁寧に描いています。リナは世界で初めてといいましたが、世間では不老不死が当たり前の世の中となっていきます。しかし、風吹さんは遺伝子異常で、小林さんは自らの意思で不老不死にはなれませんでした。二人を自分で作った施設(風吹さんだけ入所)で見守るリナという構図です。そこから感じることも多く、その後のラストが意味を持たせてくれます。

結局不老不死というのも…世間では自殺が増えたというニュースがあるように。必ずしもそれが正しいとは限らないと教えてくれてるような感じでした。思わぬ結末もよかったです。

本作はSF設定を楽しむというより、人生とは何かを考える人間ドラマでした。
鎌谷ミキ

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