KHinoji

ひらいてのKHinojiのレビュー・感想・評価

ひらいて(2021年製作の映画)
3.7
山田杏奈の濡れ場が見られるとはw
お相手と露出の度合いが異なるのは、もともとの演出なのか大人の事情なのか…なんてどうでもいいことをついつい考えながら見てましたwww

題材は売り言葉でいえば高校生の恋愛モノ、三角関係、ということになってしまうのだけれども、予定調和的な優等生のポジティブ・ストーリーなんかではなくて、かなりこじれた話であり、恋愛というよりは色々な要素(友情や性欲や同性愛や大人と子供などなどなど)を混然一体とした話になってます。要は青春ドラマといった方が適切。

こんな面倒なストーリー誰が作ったのかと思っていたら、原作は綿矢りさの同名小説でした。一筋縄ではいかなさに納得。

タイトルのひらいては普通に考えると、心を開いての意味。折り紙を開く(やりなおす)ことや封筒を開く(内容の手紙を見て先へ進む)ことともかけられていると思われる。

山田杏奈演じる主人公は、見てくれも頭も良くて家庭環境もたぶん恵まれているが故に自分一人で調子よく生きていけるJK。要は、TPOや相手に合わせて演技している自分に嫌気がさしており(青春だね)、その反動で一見自分とは正反対の男の子に秘かに恋してるつもりになっている。

自分一人だけではこれ以上成長できないことに内心では気づいており、それが意外な恋愛感情や不真面目で極端な行動につながっていく。が、今まで一人でなんでも器用にこなしてきたことが彼女のプライドであり、本心から他人に向き合うことはできずにいる。彼女はその状況をどのように変えていくことができるのか…
この物語は、結局は本当の自分は何なんだろうということを、ちょっとした新しい経験を積み重ねていくことで自ら理解し、次の一歩を踏み出していくお話です。

なのでストーリー上は明確な結論なんて無い映画ですので、そういうのが好きではない方は見なくていいでしょう。

この映画版の価値はやはり、メインの3人の演技と演出による実写映像化になると思います。山田杏奈と芋生悠の演技は良し、作間龍斗は役の雰囲気に合っていると思います。

監督は首藤凜、「なっちゃんはまだ新宿」で期待できそうと思いましたが、今後も期待したい。(題材的には偏りが大きい作家のかもしれないけど)

(2021/10 映画館にて)
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