芥川賞作家綿谷りさの同名小説を新鋭女性監督・首藤凛が映画化。簡潔にいえば揺れ動く高校生の三角関係を描いた恋愛映画なのだけど、綿谷りさの作品がそんなキラキラ系の映画になる訳もなく、女子高生たちの繊細な感情を描いた見事な愛憎劇、そして青春群像劇となっている。
本作が長編映画デビュー作の首藤監督は、自身が高校3年生だった時に原作小説を読み「いつかこんな映画を撮りたい」と思ったそうで、学生時代からコツコツと脚本を描き続け遂に映画化したという渾身の作品。
学園カースト上位であり随所に小悪魔ぷりを発揮する主人公・愛が苦手という方も多いかもしれないが、個人的には良くも悪くも行動力はあるし肝心な時に不器用だったりと、なかなか可愛げがある彼女は魅力的に写った（小悪魔女子が好きなのもある笑）
そもそも後半にとんでもないヒールが登場するので、彼女はそこで華麗にフェイスターン（？）。演じている山田杏奈も、欲しいものを手に入れたいという欲望や性的で生々しい感情の入り混じる表情の変化を見事に表現していたと思う。
儚げながら真の強い美雪を演じるのは芋生悠。主演である「ソワレ」、他作品の助演でも印象的な彼女はもはや語ることはない程の演技力。
綿谷りさと首藤凛、そして山田杏奈と芋生悠、小説家・映画監督・俳優としても若い才能を発揮した作品が心に響かない訳がない。同性だからこそ描き切れた内容も好感で、なかなかの傑作だった。
前日に鑑賞した「かそけきサンカヨウ」の翌日に連続鑑賞。原作者と監督という違いはあるし、内容もジャンルもやや異なるのを承知の上で申し上げると、同じ年代を描いても綿谷りさと今泉力哉、これ程までにアプローチが違うモノなのかと妙にグッときた。しかもどちらも妙にリアル。
この２つを同時に上映してる劇場は全国に少なそうだけど、可能なら是非一緒に観てもらいたい作品かもしれません（ここで簡単に調べた感じテアトル梅田、イオンシネマ板橋とみなとみらい、あとはユナイテッドシネマ豊橋18くらいかな？）
