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ひらいてのHrtのレビュー・感想・評価

ひらいて(2021年製作の映画)
4.5
年を越す前にこの映画についての所感を留めておきたい。
自分にとってこの映画は2021年ベストに並ぶものであり、さらにティーン映画としてオールタイムベストに入る一作だった。
すなわち、10代の無垢な傲慢さを恋愛感情を通して鋭くキャプチャーしているということ。
過ぎ去った青春へのキラキラした妄想を膨らませる少年少女マンガ原作の映画も好んで観てはいるものの自分にとってリアルなのは断然この作品に描かれるベクトルが交差しない沸々とした感情と焦燥と嫉妬だ。
決して向かい合えないことが分かりつつ自分を突き動かすものを抑えきれない主人公に忌避感と親近感を同時に覚える。
事実として愛とたとえが向かい合うカットは最後を除いてまるで無く、あっても2人の横姿がカメラに映るのみになっている。
ドラマや映画でちらほら目にしていた山田杏奈のこの作品における凄味が同世代女優(2000年周辺生まれ)の競争の激しさの中で輝き出しているように感じる。
ルックスと性格でダイレクトにヒエラルキーが決まる高校生活において本作における彼女のリアリティはとんでもなく、それでいて内に秘めた激情が時間が進むごとに目の表情に隠しきれなくなっていく演技に怖気だった。
キャスト3人が素晴らしいのは本人たちの地力もあるが演出の賜物だろう。
上滑りするような心の落ち着かなさをスクリーン全体から感じ、自分の神経を刺されるような激しさを終始感じていた作品だった。
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