私の母もほんの少し前までは本当に若かった
はつらつとして元気に働いていた
年月とともに歳をとり視力が低下していく病いを患った
見えなくなってくるってほんとうに辛いのだと思う
私が知らない母の二十代
十代
少女の頃
読んだり書いたりすることが好きで
中学では新聞部で将来は記者になりたかったと言っていた
きっと私とも気が合ったと思う
私が好き勝手をして離れていた時は、母は時々ミニシアターに行って映画を観て感想を手紙に書いて送ってくれた
ユーモアを交えていつも何かを教えてくれた
彼女は、今、無力だと感じている
楽しかった時の記憶は薄らいでいくようだ
時々そばにいることしかできない
今日は寒いね 明日は暑い？
今何時？まだ3時なの？
昼ご飯はチンすればいいね 夕飯は何かな
聞いているよ
見ているよ
ずっと母のことばかり浮かんでいた
目と耳と心を奪われる言葉と映像
自分にとっては大切な大切な映画になった
映画の全てにきゅっと掴まれました
ブルーのざっくりセーター
青いオーバーオール
くしゅくしゅの茶色い髪
黄や赤のカサカサ落ち葉
ピーヒョロヒョロ鳥の声
ザワザワ ザワザワ
風が通り抜けていく
光踊れば影も踊り
…ラストカットもよかった
