くろねこヤマ子

白い牛のバラッドのくろねこヤマ子のレビュー・感想・評価

白い牛のバラッド(2020年製作の映画)
3.7
冤罪による死刑で
夫を失ったシングルマザー。
生活は四面楚歌。
そんな彼女の元に
夫の古い友人と名乗る男が現れて…
の、物語。

序盤に描かれる、
イランという国での寡婦の生きにくさは
観ているだけで苦しい。
酸素くれって思うくらい苦しい。

BGMがないため画面が固く、
更に苦しさが助長する。
うまい演出だな、と思う。

全て神の思し召し、
神が定めたことだからと
片付けられているけれど、
いやいや人間の意志が働きまくってるやん
ってツッコんでしまうのは、
自分が抑圧された世界に
生きていないからなんだろうな。

夫の友人の正体を
彼女が気づいたところからがハイライト。
イスラム社会で生きるって
良くも悪くもこういうことかと、沁みる。

宗教、道徳、物事の捉え方。
なるほどなぁと思うし、
自国で上映が禁止されちゃったのも
ほんの少しだけ分かる気がした。