しちれゆ

やすらぎの森のしちれゆのレビュー・感想・評価

やすらぎの森(2019年製作の映画)
3.6
映画が始まって5分程して杖をついた高齢のご婦人が映画館のスタッフに連れられて入ってきて私の前の席に座ったのだが、その方が覚束無い足取りで席を2つ右に移動し、また元の席に戻るなどし、私は「転ぶのでは?」と気になってその方を注視していて最初の15分位スクリーンに集中出来ず、そうこうしてるうちに映画の中のおじいさんの1人が早くも死んだ模様😨

で残るおじいさん2人は大麻栽培で収入を得てケベックの森の中で暮らし、いつでも死ねるように青酸カリの小瓶を持っている。この2人は中年くらいまでは普通の暮らしをしたのちに自ら森の生活を選んだのだから良しとしよう。けれどここに加わったおばあさん マリーの人生が辛い。60年以上も精神病院に閉じ込められ、病院の監視員や入居者に凌辱され出産までしていた。80歳を越えた女性に森の暮らしは無理でしょ、と思うけど、マリーはここで初めて自分の人生を生き、チャーリーとの恋に乙女のように震える。たるんだ胸元の皮膚の下で打つ鼓動が聞こえるかのよう。

原題は″And the Birds Rained Down″
山火事によって雨のように降ってくる鳥たち。突然断ち切られる命。それと対比するように自死を選ぶ人間。自分の生き方を自分で選びとったように見えても老いや病は容赦なく生を蝕んでいく。人生の終焉という答えのない命題についての物語。


(『やすらぎの森』・・またまた邦題、やらかしてます😩)

(冒頭で書いた杖のおばあさん、ロビーで見たらそこまで危険水域ではなかった。もう!😤)

(レビュー数、少な…😔)
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