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明け方の若者たちの8637のネタバレレビュー・内容・結末

明け方の若者たち(2021年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

まさかネタバレ付きで語らなければいけなくなるとは。面白いけど酷い映画だな、と思ってしまった。

"僕"の中で美化されすぎた"彼女"。好きになった人の仕草や嗜好なら自分も何でも好きになってしまうあれ、もうそろそろ名前付けた方がいいよね。そして、彼女の愛しい部分だけが先にどこかへ行ってしまう。正直自分はまだ、セックスとかするもっと前のぎこちない会話やボディタッチの方が尊く思える。
カルチャーはなあなあに使われてた感じ。「エイリアンズ」を朝のアラームにするのダサぁ、とキリンジファンの自分は思ってしまったし、2013年に「ヤングアダルト」は無かったよな...という違和感も感じた。

同期の中でも威張れず、やりたい事が遠のいて...と、労働って本当にきついんだろうなと身に染みる日々の中での指切断。ここまで見せられたらさすがにR15+だろうし、ここまで見せたかったのかな、と思った。たまにしか会えなくなっている"彼女"も次第に掃き溜め相手になってきている。

そして極め付け。"僕"と"彼女"の交際が不倫だと分かった瞬間に冷めた。その展開がラブストーリーの中で映画的に入れ込まれる必要がないと思うし、それを知りながらずっと笑って付き合ってた"僕"ってどうなの、と思ってしまった。「何だっていつかは終わるよ!」の終わる理由がこれかよ...と、一目惚れの純愛だと思って没入していたものが覆されたことが純粋に辛い。しかも、大した別れの言葉もないまま忘却の旅路が始まり、映画が終わる。

僕だって明け方が一番のマジックアワーだと思ってる身だ。絶対その時間には起きれない、だから徹夜しかける前の時間帯だけしか見られないエメラルドのような色の空。
自分が若者だと自覚できた頃、それを羨んだ後世の彼らが「若者たち」と著したのかもしれない。映画として完全に失望したけど、"彼女"に満たされる経験や思い出をくれてありがとう。
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