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ボーはおそれているのくまねこのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.6
「ボーはおそれている」2023/12/20、HTC有楽町での試写会で鑑賞。アリ・アスター監督のトークショー付き。(ネタバレなし)

観てて気が狂いそうな179分のオデッセイな旅映画だった…。サイコロジカルホラーコメディ映画とでも呼べばよい?
監督曰く「ユダヤ系のロード・オブ・ザ・リング」とのこと。母親からの支配、抑圧オデッセイという印象だった。

不安で怖がりの中年男性、ボーは怪死した母の元へ駆けつける帰省が壮大な旅に変貌するダークコメディ。主人公ボーが不安に思うことや、日常に存在するすべての不安要素を、観客に視覚的に全方向にばら撒きまくっている印象を受ける。
何より面白いのは、主人公ボーが心配してた事が次々に発生していくと、直前に心配してた事は過ぎ去って忘れてしまうこと。

前半の空港に向かうシーケンスは、理不尽、不条理な事件が連続する。終わらない悪夢がいつまでも続くので、ついつい笑いが込み上げてしまう(劇場内は失笑が多かった印象)

中盤、迷い込んだ森の中での孤児たちの演劇、お父さんとの再会、銃撃戦、アニメーションパート(監督曰く、予算の都合により、チリの2人組監督クリストバル・レオン&ホアキン・コシーニャに依頼したとの事)etc…。

このシーケンスから、ストーリーについていけなくなりました。おもしろいけど一体何を見せられてるんだ?って感じ。

マライア・キャリーの”Always Be My Baby”での性交シーンも爆笑でした。

母に促され上がった、屋根裏部屋でボーがみた、あのDickな怪物は父親の象徴であり、恐怖としての象徴なのだろうか?

息子への母親の愛情はとてもとても怖い…。支配的な母親と受け身で成長しない息子の悪循環な関係性を描いているようにみえる。彼らの共依存関係が一種の呪いを生み出しているのではないだろうか。

原題”Beau Is Afraid” って言うのは
”Boys Afraid”って事でもある。つまり、
「男は(母、女性を)おそれている」という意味なのか?女性は怖るべきものという男性側の共通認識をサイコロジカルホラーコメディ映画としてアリ・アスター監督は製作したのだろうか…。劇中、ボーがおふくろさんにこっぴどく説教されてるシーンもあったよね(愛情の裏返しだけどね)…という事をつらつら考えながら観ていた。

終盤、スタジアム(アリーナホール)での公判後、転覆したままの小舟が延々と映されるラストカットの意味とは??序盤にも少年のラジコン船が転覆したシーンがあったような?

もう一度観てみたいが179分の悪夢のオデッセイは辛すぎる…

#ボーはおそれている
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